東京都市大学は3月3日、廃食油を原料とし、石灰石を触媒とするバイオディーゼルの生産過程において、粉ミルクや歯磨き粉、医薬品などのカルシウム強化剤として利用される、機能性に優れた付加価値の高い素材「グリセロリン酸カルシウム」が副生できることを発見したと発表した。
同成果は、同大工学部エネルギー化学科の高津淑人 准教授らによるもの。同成果の詳細は3月6日から8日に書けて開催される「化学工学会第82年会」のポスターセッションで発表される予定だという。
軽油代替燃料として利用されるバイオディーゼルだが、現在の製法は、水酸化アルカリを触媒としており、有害廃液が副生されるため、環境面の問題や製造コストなどの面で課題があった。今回、研究グループは、石灰石を触媒とする製法を開発することで、有害廃液の問題を解決したものの、その時点では経済合理性の課題の解決には至っていなかったとするが、1kgあたり1万円程度で取引されるグリセロリン酸カルシウムが副生できることを発見したことから、解決が見えるようになってきたという。
なお、研究グループでは、都市部において廃食油は飲食店や食品加工場などから大量に確保できるほか、バスやトラックなどの台数が多いという利点があり、都市部で排出される廃食油を都市部で加工・消費する仕組みが整えば、エネルギーの地産地消が実現できるようになるとしており、今後、これまでのアイデアの検証などを進めながら、さらなる生産効率の向上などを図っていくとしている。