理化学研究所(理研)は3月1日、原子番号116「リバモニウム(Lv)」の同位体(292Lvと293Lv)の合成に成功したと発表した。
同成果は、理研 仁科加速器研究センター超重元素分析装置開発チームの加治大哉仁科センター研究員、同 森本幸司チームリーダー、超重元素研究グループの森田浩介グループディレクター(九州大学大学院理学研究院 教授)、RI応用チームの羽場宏光チームリーダーらの国際共同研究グループによるもの。詳細は日本物理学会の英文誌「Journal of the Physical Society of Japan (JPSJ)」に掲載され、先行してオンライン版に掲載された。
現在、元素は原子番号118までが認定されているが、原子番号104以降の重い元素は「超重元素」と呼ばれ、加速器を利用した融合反応により合成する必要がある。今回、研究グループは、理研の重イオン線形加速器「RILAC」を用いて原子番号20のカルシウム(48Ca)ビームと、同96のキュリウム(248Cm)標的との融合反応を起こし、Lv同位体合成実験を実施。その結果、Lv同位体である292Lvと293Lvを各3個ずつ合成することに成功したという。
また、観測された崩壊連鎖は、欧米諸国で行われた2つの先行研究とよく一致していることも確認され、先行研究で報告されている高い生成率についても検証できたとしている。
なお研究グループでは、今回の研究について、原子番号119以降の新元素探索に向けた融合反応研究の第一歩であり、今後、重イオン加速器から供給される大強度ビームを用いて生成率を向上させ、さらに熱い融合反応において約1.7倍高い収集効率を持つ新しい気体充填型反跳分離器「GARIS-II」を活用していくことで、融合反応研究に関する包括的な理解や第8周期初となる新元素探索に取り組んでいく予定としている。