シトリックス・システムズ・ジャパンは2月22日、2017年度事業戦略説明会を開催した。説明会では、同日に発表されたクラウドサービス「Citrix Cloud」を中心に、2017年度の日本市場における事業戦略を明らかにした。
すべてのソリューションをクラウドから提供
初めに、米Citrix Systemsワールドワイドセールス & サービス担当 エグゼクティブ バイスプレジデントを務めるカルロス・サルトリアス氏がグローバルの事業戦略を説明した。
サルトリアス氏は、同社の戦略として「アプリケーション、データ、ネットワークを安全な形で、サービスをクラウドから提供」を行い、アプリケーションをスイートとして提供している点がユニークであると述べた。
2017年度の実施命題が「Suiteでリードし、ワークスペース サービス(WaaS)でのリーダーシップを確立」であることを紹介した。「もはやワークスペースのクラウドへの移行は現実的なこと」とサルトリアス氏。
また、ADC(Application Delivery Controller)、セキュアゲートウェイ、SD-WANについては明確なリーダーシップを確立することを目指すが、サルトリアス氏これらの製品について「明確なポートフォリオがあり、Software Definedである点で他社とは異なり、クラウドに移行していく」と、自信を見せた。
実施命題に取り組んでいく上では、「マイクロソフトとのパートナーシップ」「さまざまなレベルでのプロテクションを提供」といった点が特に重要であるとした。
国内の働き方改革を推進する企業にワークスペースの提供を
日本市場の事業戦略については、米Citrix Systems ワールドワイドセールス & サービス担当 エグゼクティブ バイスプレジデントを務めるスタニミラ・コレヴァ氏が説明を行った。
グローバルでは、「安全なワークスペース」「ネットワーキング」「マイクロソフト」の3点を2017年度のセールスプライオリィの柱に据えているが、日本では「安全なワークスペース「ネットワーキング」「クラウド」を柱にビジネスを進めていく。
「安全なワークスペース」については、日本では働き方改革に対する社会的機運が高まっていることに伴い、柔軟性・生産性が高い働き方を実現する方法として、同社の製品を提供していく。
また、中小規模の企業については、「これまで仮想化技術を使いきれていなかったが、当社では中小規模の企業の顧客も増えてきている。HCI(Hyper-Converged Infrastructure)を使えば、少ないコストでVDIが利用できるので、中小規模の企業に勧めていきたい」とした。
「ネットワーキング」について、コレヴァ氏は「われわれがネットワーク関連のソリューションを提供していることを、市場に知ってもらう必要がある」と述べた。同様のことをサルトリアス氏も語っていたが、同社はVDIソリューションを提供するベンダーとしてのイメージが強いため、2017年度はネットワーク市場に対し、アプローチを強化していきたいようだ。
「クラウド」については、同日に発表された同社のワークスペースサービスの配信を一元管理するサービス基盤「Citrix Cloud」の展開に注力していく。第1弾として、XenApp & XenDesktop Service、XenDesktop ServiceおよびXenApp Secure Browser Serviceからサービスの提供が開始された。
コレヴァ氏は「マイクロソフトとのアライアンスの下、"クラウド・ファースト"を加速させ、Windows 10への移行を推進していく」と、あらためてマイクロソフトとの関わりの強さをアピールした。
説明会には、2月20日にシトリックス・システムズ・ジャパンのリージョナル バイス プレジデント兼カントリーマネージャーの就任が発表された青葉雅和氏も登壇した。
青葉氏は「シトリックスはこれまでワークスペースソリューションのリーディングカンパニーとして、ポイントソリューションを提供してきたが、これからは新たなソリューションをトータルで提供することを期待されていると感じる。顧客の課題を明確にし、それを解決するソリューションをトータルで提供していきたい。また、営業組織については、インダストリー別に変更することで、顧客の課題を解決していきたい。顧客はクラウドに移行することで柔軟性やコストの面でメリットを得ることができる。われわれはパートナーとともに、顧客に新たな選択肢としてクラウドを提供していきたい」と述べた。
米国ではすでに提供を始めていたクラウドサービスをいよいよ国内でも提供開始するシトリックス。同社はマイクロソフトとの強力な結びつきを武器に、これから攻勢をかけていくことになる。今後の動きを見守りたい。