三井住友銀行(SMBC)と日本IBMは2月24日、貿易分野におけるブロックチェーン技術の適用可能性に関する実証実験を2月から開始することで合意したと発表した。

海外との貿易取引には、商習慣や取引関係など、国内での取引との違いが存在し、SMBCではこれまで培ってきた貿易金融の知見と、ブロックチェーン技術を活かして、輸出入に必要な貿易関連の書類の電子化と迅速かつ安全な交換、ならびに輸出者、輸入者、フォワーダー、船会社、港湾関係者間での情報連携など、業務プロセスへの適用可能性と影響を検証する。

検証では、デモ・アプリケーションを開発し、貿易関係者からのフィードバックに基づく機能追加を予定している。アプリケーション上では、貿易に関する諸手続きを電子化することで各関係者における貿易事務上の確認作業を簡素化する。

また、追加機能例として取引に付随するデータをIoTにより取得し、物流ステータスの見える化やリアルタイムのデータ分析による商流高精度解析ツールの提供、コグニティブ・コンピューティングを利用した障害予測ならびに業務効率化など、先進スタートアップの技術を利用可能なマーケットプレース基盤に加え、輸出入業者間のニーズに応じた決済タイミングを実現できる仕組みを検討している。アプリケーションを貿易関係者に操作・体験してもらうことで、貿易実務上の利用ニーズの把握に活かしていく。

SMBCでは、先進動向の調査を通じて顧客ニーズの対応しており、今回の実証実験は同社の新技術調査などを行うシリコンバレー駐在と日本IBMおよびIBMのグローバルチームとの連携プロジェクトの一環として進めてきた。今後も顧客の多様化するニーズに幅広く応えるため、商品・サービスの向上に取り組む。

一方、IBMはLinux Foundationの「ハイパーレジャー・プロジェクト」に参画し、世界各国でブロックチェーン技術の実用に向けた取り組みを実施している。今回の実証実験で日本IBMは、SMBCが推進する貿易分野への同技術の適用を支援するため、業務プロセスフローの作成やIBMクラウドを活用してデモ・アプリケーションの開発を支援するとしている。