シトリックス・システムズ・ジャパンは2月22日、同社のワークスペースサービスの配信を一元管理するサービス基盤「Citrix Cloud」を日本市場においてクラウドサービスとして提供を開始した。
シニア フィールドレディネス マネージャーの竹内裕治氏は「Citrix Cloudで企業に必要なシステムをすべてまかなうわけではない。Citrix Cloudはわれわれの製品をクラウドで展開するためのプラットフォーム。特徴は、管理プレーンと展開ロケーションを分離していること。これにより、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドクラウドなど、さまざまな環境での利用を実現する。これからはクラウド・ファーストでソリューションを提供していく」と、Citrix Cloudの特徴とクラウドに注力していく姿勢をアピールした。
Citrix Cloudでは、仮想アプリケーションとデスクトップ、モビリティ管理、ファイル共有、ネットワーキングが提供される。今回、サービス第1弾として提供されるのは、ブラウザを仮想アプリケーションとして配信する「Secure Browser Service」、仮想デスクトップを配信する「XenDesktop Service」、仮想アプリケーションと仮想デスクトップを配信する「XenApp & XenDesktop Service」となる。
米国本社は昨年8月にマイクロソフトと共同で、Microsoft Azureを基盤としたWindows 10のデスクトップ仮想化サービスと仮想アプリケーションのリモート配信サービスの提供を発表している。竹内氏はこれら2つのサービスの特徴を紹介した。
Windows 10のデスクトップ仮想化サービス「XenDesktop Essentials service for Azure」はAzure Marketplaceから販売が行われる。管理プレーンとXenDesktop EssentialsはCitrix Cloudに配置されてシトリックスが運用する。OSはAzure上のWindows 10 Enterprise CBBを利用し、サブスクリプションは顧客が管理するものを利用する。「XenDesktop Essentials service for AzureはWindows 10のVDIを提供するためのもの。また、これまでどのベンダーもクラウド上でWindows 10を提供できておらず、われわれが初となる」と竹内氏。
一方、仮想アプリケーションのリモート配信サービス「XenApp Essentials service for Azure」は、Azure上のWindows Server OS上でWindowsアプリケーションを提供する。
同社はこれまでもマイクロソフトと密接な提携関係にあったが、Citrix Cloudの提供を機に、企業のWindows 10の利用を促進するとともに、よりマイクロソフトとの関係を強化する構えだ。
また、Citrix Cloudでは、ワークスペースおよびワークロードの導入や管理をシンプルかつ迅速に行うためのツール群「Smart Tools」が提供される。Smart Toolsは次の4つのコンポーネントから構成される。
- Smart Build→ワークスペースおよびワークロードの導入を行うツール。ベストプラクティスに基づき、展開を計画通り実行できるという。
- Smart Migrate→ワークスペースおよびワークロードの移行を行うツール。アプリケーションイメージ、ポリシー設定を引き継ぎながら、スムーズな移行を行えるという。
- Smart Check→プロアクティブなシステム環境のチェック・分析により、導入の際に発生する問題を把握・解決する。
- Smart Scale→パブリッククラウドやハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)上で、XenAppおよびXenDesktopのワークロードをワークロードベースで即座にスケールさせる。
そのほか、竹内氏はまもなくリリースされるXenApp & XenDesktop 7.13の特徴も紹介した。