2000年からの3年間にがんと診断された患者の10年生存率は58.5%だった、と国立がん研究センターが16日発表した。10年生存率は昨年初めて出され、今回で2回目。昨年比で0.3ポイント上昇した。今回発表された数字は14~17年前にがんにかかった人の生存率で、その後がん治療は部位別で差はあるものの全体としても進歩している。同研究センターは最近診断された人の10年生存率は目立って上昇しているとみている。
同センターは、2000年から03年の間に全国の20施設でがんと診断された患者45,359人を分析し、10年生存率を算出した。その結果、分析対象患者の多い順では、肺がん32.6%、胃がん67.3.%、乳がん81.7%、大腸がん69.2%、前立腺がん94.5%など。前立腺がんや甲状腺がん(89.3%)は高い一方、早期発見が難しい上に進行が早い膵臓(すいぞう)がんは5.1%と16.4%だった肝臓がんよりも低かった。
これらの数字は進行度を示すステージⅠ期からⅣ期までを合わせた部位別全症例。どの部位もⅠ期の生存率は進行したⅣ期よりも際立って高く、Ⅰ期だけを見ると、乳がんや胃がんは90%を超えている。ただし乳がん、胃がんもⅣ期の生存率はそれぞれ14.5%、7.0%と大きく低下し、早期発見がいかに大切かが分かる。また早期発見が難しい肝臓や膵臓のがんはⅠ期でも30%前後で、膵臓がんに代表される難治がんの効果的な治療法開発が重要な課題であることを示している。
がん生存率は多くの症例をまとめた平均の数字で一人一人の患者の余命を決めるものではない。このため調査データを個別に細かく見る必要があり、多くの臨床医が、余命は最善を尽くす治療と患者自身の闘病の仕方で大きく変わる、と指摘している。
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