デルは2月14日、中堅企業に特化したビジネス戦略に関する記者発表会を開催。「ひとり情シス」向けのソリューションの提供やITコンシェルジュの採用などを発表した。
同社は中堅企業向けのビジネス戦略を策定するあたり、実態を調査するため、昨年の12月26日から今年の1月20日にかけて、全国の中堅企業(従業員が100~1000人)443社にIT関連動向調査を実施した。
その結果、情報システム担当者が一人の企業は14%で、IT専任担当者がいない企業も13%あることがわかったという。また、製造業200名以上の企業の77%が海外展開への取組を実施および検討しており、IPAセキュリティガイドラインに準拠している企業はわずか3%であったことも判明したいう。そこで同社は、これらの結果を踏まえ、中堅企業向けの事業戦略を決定した。
ビジネス戦略としてはまず、緊急の課題となっているサイバーセイキュリティ対策として、「IPA中小企業ガイドライン」の普及支援を行い、全国17都市でセミナーを開催。ガイドラインの提供を行うほか、デルのセキュリティソリューションの紹介を行う。
また、情報システム担当者が一人の企業、あるいはいない企業が合計で27%いることから、「ひとり情シス」支援ソリューションを提供していく。このソリューションは「守りのIT」と「攻めのIT」に分けられ9つの「打ち手」から構成される。
これらは、最新技術を採用して自動化していくこと、デルの経験に基づいた利用想定で構成すること、段階ごとに評価可能な導入単位を低コストで実現すること、グローバル展開を視野に入れた構成にすることなどをコンセプトにしているという。
具体的には、「事前導入・予防による負荷低減」ではクローニング支援を、「トラブル対応の仕組み化」では、自動故障通知、VDI+セルフポータル化、クラウドDRによるデータ保護を提供。「経営課題解決のためのコミュニティ活用」では、セミナー・ユーザ情報会を開催する。
そのほか、「管理の自動化/シンプル化」ではHCI+ハイブリッドクラウドやシンプルで高パフォーマンスなユニファイドストレージを提供、「ITと経営の一体化」では、ITコンシェルジュ制度を開始する。
ハイブリッドクラウドについては、中堅企業でのクラウドの利用パターンを整理し、低価格レディメイド構成のハイブリッドクラウドを提案。今後クラウド事業者と提携し、ハイブリッドクラウドの提案を本格的に開始する。
ITコンシェルジュは、川崎本社のインサイドセールスの体制を強化するもので、企業ごとに担当を決めながら、必要なIT構築、必要な投資額や人員、取り組むべきクラウドサービス、セキュリティ対策などをアドバイスする。ITコンシェルジュは、ITコーディネイター、情報セキュリティマネジメントなど、取得した資格によってキャリアパスを設定するという。
また、ソリューションとして、SAP、Oracle、OBCの勘定奉行、内田洋行のスーパーカクテルなど中堅企業向けのERPを検証済み構成で提供するほか、パートナーソリューションもあわせて提供する。
デル 最高技術責任者 黒田晴彦氏は、同社が中堅企業に注力する理由について、「大企業はコーポレートガバナンスの中にITカバナンスを組み込んでおり、IT導入は容易だ。しかし、中堅企業のIT部門は経営者の近くにいて、会社の優先順位やITを使って何をすべきかを知っており、現場と直接コミュニケーションして、浸透できるITにしていかなければならない。ただ、人数的には限られており、幅広い知識が必要とされ、3方向のコミュニケーションが必要となるなど、難しい役割をこなしている。一方デルは、直販やパートナーを通して中堅企業にリーチできており、直接相談にのり、支援できる。また、コールセンターも自社で運用しており、日々の改善を行っているのが強みだ」と説明した。
また、デル 広域営業統括本部 執行役員 統括本部長 清水博氏は、「日本には従業員が100名以上、1000名未満の企業は6万社あるが、デルはこのうち22000社(37%)にリーチできており、顧客の満足度も高い」とデルが中堅企業に強い点をアピールした。
同社はこれらの施策を促進するため期間限定のキャンペーンを展開。Dell PowerEdgeシリーズの1ソケットサーバに関しては、CPU、メモリ、ストレージをすべて定価の80%オフで提供するほか、従業員100名以上999名未満の顧客限定(公共機関は対象外)で、VostroシリーズのPC全製品を10,000円オフ+5% オフで提供する。