NECと日本オラクルは2月14日、顧客のデジタルビジネス創造を支えるクラウド事業の戦略的な提携を行うことで合意したと発表した。
これにより、「NECの国内データセンターからOracle Cloudの提供」「Oracle CloudとNECのソリューションの連携」「NECにおけるOracle Cloudに対応できる人材の強化」「NECがOracle Cloudの一時保守を提供」が実施される。
NEC 執行役員の橋谷直樹氏は、「オラクル製品を利用している顧客に対し、われわれのSIとサポートの能力によりクラウドの選択を増やしたい。また、SoR(Systems of Record)領域のビジネスに加え、SoE(Systems of Engagement)領域におけるデータ活用を見据え、新たなデジタルビジネスによる事業を創出したい」と、今回の提携における狙いを語った。
NECは今回の協業によってSoE領域で新たな事業を創出することで、クラウド関連事業全体で2020年度までの4年間で1500億円の事業創出を目指す。
今回の協業により、NECは、顧客やパートナーのデータセンターにOracle Cloud環境を構築する「Oracle Cloud at Customer」を、同社の国内のハイブリッドデータセンターに設置し、同センターを通じて顧客ごとにオラクルのクラウドサービスを提供する。提供は2017年第2四半期を予定している。サービスに加えて、インテグレーションや運用などのサポートサービスを提供することで、付加価値を提供する。
また、Oracle Cloudの運用管理、既存システムからOracle Cloudへの移行、ハイブリッドクラウドの導入・運用を支援など、Oracle Cloudに対応可能な人材は、今後3年間で1500人の育成を目指す。
橋谷氏は「クラウドはオンプレミスとは異なる独自の運用のノウハウが存在している。今後は、これまで培ってきたオンプレミスの実績に加え、クラウドならではの導入・運用に対応できる人材が必要となる。こうした人材の強化はわれわれにとって大きなステップとなる」と話した。
橋本氏は今回の協業により、今後強化していきたいこととして、Oracle Cloudと「NEC the WISE IoT Platform」との連携を挙げた。具体的には、業務システム、データLCM(ライフサイクルマネジメント)、データ活用の部分にOracleの技術を取り入れて、デジタル産業を支えるプラットフォームを実現する構えだ。
一方、日本オラクル 執行役 副社長 クラウドテクノロジー事業統括の石積尚幸氏は、今回の協業における目的は2点あると語った。
「今回の協業の目的は2つ。1つは、NECが培ってきたSI能力とサポート能力により、顧客のクラウドへの移行を加速させたいと考えている。もう1つは、日本中をカバーしているNECのサポート力に相乗りしたいということだ。これまでわれわれの顧客は大規模な企業が多かったが、クラウド事業を始めたことで、今まで付き合いがなかった企業との取引が増えてきているが、正直なところ、われわれは地方にフットプリントがない」
また、石積氏は「海外の企業に比べ、日本企業はクラウドを活用した新規ビジネスへの取り掛かりが遅い。しかし、日本企業の競合はもはや日本企業だけではなく、海外に広がっている。日本の企業海外の企業と戦うには、クラウドが必要。われわれのクラウドサービスとマルチテナント化を利用することで、データベースにかかるコストを削減できる。そこで浮いたコストを新規ビジネスに振り向けてほしい」と、日本企業がクラウドに移行すべき背景を説明した。