相模原市立旭小学校は2月9日、2020年の小学校のプログラミング教育の必修化に向けた「プログラミング教材実践授業」を公開した。

小学校のプログラミング教育は、プログラミングそのものを学習するのではなく、「プログラミング的思考」を身につけることを目的にしている。「プログラミング的思考」とは、『自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、1つ1つの動きに反応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力』だという。

2月9日の実践授業では、神奈川県相模原市立旭小学校 4年1組(担任:荒木先生)による、「レゴ WeDo 2.0」を利用した国語の授業が公開された。

公開された授業の様子

プログラミングブロック

「レゴ WeDo 2.0」は、学校、塾、NPO法人等向けにレゴ エデュケーションが提供するプログラミング教材。レゴブロックのほか、スマートハブ(電子パーツとBluetoothで接続するもの)、モーターやセンサー(傾き、距離の変化)などが含まれる。そして、Windows やMacのタブレットにインストールした専用ソフトウェアによって、モーターを動かす、サウンド再生、近づくといったさまざまな機能を持ったプログラミングブロックをドラッグ&ドロップで組み合わせることで、作成したレゴブロックの作品を実際に動かすことができる。プログラミングの結果をレゴブロックの動きとして実際に確認できるのが大きな特徴だ。

「レゴ WeDo 2.0」のパーツ

児童はプログラミングブロックを組み合わせてプログラムを作成していく

プログラミングを終えたら、転送して実際に動かし動作を確認していく

プログラミング教材実践授業を行うにあたっては、学習の課題や計画を知る(1時間)、報告文の型を確かめる/報告文を書くための調査・情報収集を進める/報告文にまとめる(8時間)、報告文の発表を行う(2時間)の全11時間のカリキュラムが作成された。

今回、公開授業として公開されたのは6/11にあたり、「報告文を書くための調査・情報収集を進める」の最後の授業だ。児童たちは、プログラミングをしながらレゴブロックの動作を確認し、「学んだこと」、「思ったこと/感じたこと」を付箋紙にメモしていた。今後、このメモをもとに、児童は報告文を作成していく。

「プログラミング教材実践授業」の学習計画

「学んだこと」、「思ったこと/感じたこと」を付箋紙にメモ

全11時間のカリキュラムを通して児童が行うのは、レゴ エデュケーション社に報告文を書くというもの。1回目の授業では、「レゴ WeDo 2.0」を使って、「学んだこと」、「思ったこと」「感じたこと」ことを報告してほしいという、レゴ エデュケーション 社長からのビデオレターが児童の前で流され、報告文作成に向けたカリキュラムは開始された。

なお、今回の実践授業には、レゴ エデュケーションのほか、アフレル、内田洋行、JMCがサポート。機材の貸し出しやカリキュラムの作成に協力している。

実際に児童が「レゴ WeDo 2.0」に触れたのは4回目の授業からだという。特に使い方は説明せず、児童は説明書を見ながら独学で使い方を覚えていったという。なお、「レゴ WeDo 2.0」は使い方を学習できるカリキュラムである入門プロジェクトのほか、基礎、発展というサンプルプロジェクトが用意されている。

現在、小学校のプログラミング教育に関する学習指導要領は確定してないが、レゴ エデュケーションでは、新学習指導要領決定後、それに沿ったカリキュラムを用意していくという。

公開授業を行った担任の荒木氏は、プログラミング教材の価値として、情報を得る手段として活用できる点を挙げた。

プログラミング教材の価値

新指導要領において小学校のプログラミング教育は、「各小学校での実情に応じて、プログラミング教育を行う単元を位置づける学年や教科等を決め、指導内容を計画・実施することが求められる」とされており、学ぶ教科や学年、方法は学校側に委ねられている。そのため、今後、各学校では、これらの点を検討していく必要がある。

担任の荒木先生

荒木氏も、「新指導要領の実施は先になるが、プログラミング教育の理解を深めるために先行実践が必要になることは間違いなく、今回の相模原市教育委員会からの『プログラミング教材実践授業』の依頼を引き受けた」と、今回、実践授業を行った理由を説明した。

実践授業は、国語の授業で行われたが、国語の中で「プログラミング的思考」を学習させることは、かなりの難題のように感じられる。この点について荒木氏は「今回の実践授業では、国語における「書く」という領域の中で、『プログラミング的思考」を目指す必要があり、この点が難しいと感じた。両者は重なる部分もあるが、今回は両立で行った』と語った。

その上で実践授業では、「身近な生活でコンピュータが活用されていること」「問題の解決には必要な手順があることに気付くこと」について、「レゴ WeDo2.0」を操作したり、友達とディスカッションしたりしながら学ぶことを目指したという。