東京大学(東大)は2月7日、室温・可視光照射条件における有機分子からの水素ガス放出反応を達成したと発表した。
同成果は、同大 大学院薬学系研究科・薬学部 有機合成化学教室の嵯峨裕ERATO博士研究員、小島正寛 大学院生、布施拡 学部生、金井求 教授らによるもの。詳細は「Journal of the American Chemical Society」のオンライン速報版に掲載された。
次世代エネルギーとして期待させる水素だが、ガスとして生成するための効率の向上などが課題とされている。研究グループは今回、光触媒、金属触媒、有機触媒を組み合わせたハイブリッド触媒系を開発。室温・可視光条件における有機分子からの水素ガス放出反応を達成したという。
また、すでに不安定かつ短寿命な反応種を経由する詳細な機構解析にも成功しているともしており、これらの成果を活用することで、今後は元素戦略的に有利な成分から構成され、より少ない量で、より高速な水素ガス放出を可能とする触媒系へと進化させ、触媒開発から水素社会実現へ向けた研究を進めていく予定としている。