ANSYSの日本法人であるアンシス・ジャパンは2月1日、マルチフィジックス解析ツール「ANSYS」の最新リリース「ANSYS 18」を発表。即日、販売を開始した。
アンシス・ジャパン 代表取締役の大古俊輔氏は、ANSYS 18について、「いままでの中でもっとも進歩したものと確信している。製造業のビジネスモデルの変換に対応したイノベーティブなリリース」と表現。市場の変化の中で最も重要かつ金で買えない"時間"を生み出すために最適化機能の強化を図ったことや、デジタルツインによるリアルとシミュレーションの連動によるリアルタイムでの製品の状況判断などを可能とする取り組みを盛り込んだことを強調した。
ANSYS 18最大の特徴は流体解析製品のパッケージ化
今回のリリースの最大のポイントは、同社の流体解析製品が、構造解析製品が前リリースでパッケージ化されたのと同じように「ANSYS AIM Pro」「ANSYS CFD Premium」「ANSYS CFD Enterprise」という3つのラインアップに変更がなされたこと。それぞれを簡単に説明すると、AIM Proが設計エンジニア向けCFD、CFD Premiumが大企業のCFDエキスパートの支援のもと解析を行うエンジニア向け汎用CFD、そして最上位となるCFD Enterpriseが、CFD Premiumに成形加工や材料加工、燃焼、着氷などの特化ツールなどを追加した大企業などにおける解析専任者向けCFDという位置づけとなっている。
いずれも、シミュレーションをする前段階の作業を削減することが可能となる「SpaceClaim DirectModeler」や、最適化ツール「DesignXplorer」などが含まれているほか、CFD Enterpriseのみ、作業環境内容に同社のツールを適合させ、設計者に使いやすいGUIなどを提供することが可能となる「ANSYS Customization Suite」や、「Simplorer Entry」などが含まれている。
構造解析や半導体設計なども機能を強化
構造解析製品では、HPCの活用に向けた機能が強化されたほか、形状の最適化も強化された。これにより、設計の最適化、3Dプリンタへのエクスポート、最終製品まで一連の流れの中でのカバーを可能としたという。また、新たな材料モデルも開発。複合材のようなさまざまな機能を有した材料であっても、簡単に定義づけできるようになったとする。
さらに、IoTの進展により、無線通信機能がさまざまな機器に搭載されるようになったことを受け、機器に搭載される複数のアンテナの最適配置箇所などを分かるようにしたとするほか、半導体のプロセスの微細化ならびに集積度の向上による発熱に対応するためのチップの温度プロファイルの明確化、プリント基板上での温度分布、システム全体での最適な熱除去方法の探索、といったことを可能としたという。
半導体の設計に関しては、次世代プロセスである7nmにまで対応したほか、3D ICのデザイン解析もサポートしたとのことで、ファウンドリに対する7nmプロセスでのサポート1番乗りだと思うと同社では説明している。
このほか、組み込みソフトに対しても、特に完全自動運転の実現に向けエレクトロニクス化が進む自動車分野に向け、ADASアプリケーション開発に最適なソフトウェアが自動的にソフトウェアを検証できるようなパッケージを用意したとする。
ANSYS AIMも進化
今回のリリースでは、同社が長期的な取り組みとして進めている「ANSYS AIM」も機能が強化された。具体的には、構造解析、流体解析に電磁界と熱の連成機能などが加えられ、単一環境でこれらを活用することが可能となったほか、すでに対応済みの日本語に加え、新たに中国語をサポートしたという。
ちなみに流体解析のパッケージがAIM Proという名称となっているが、機能としてAIMとAIM Proは同等とのことで、パッケージ化にあたって名称の変更を行ったため、と同社では説明している。