情報処理推進機構(IPA)は2月1日、IoT(Internet of Things)の実現に向けて、産業ロボット分野とスマートエネルギー分野の分野間連携に関する実証実験を同8日より開始すると発表した。異なる分野の機器やシステムを接続して新たな価値を創造する分野間連携は、IoTの特徴の1つであり、安全・安心を確保する高信頼化に関する取り組みは重要なテーマとなり、異分野機器の接続に関する実証実験は今回が国内初だという。

現在、国内においては各IoTシステムをつなぐ仕組みは登場しているが、安全・安心を維持するため「システムの高信頼化をどのように担保するか」の議論は始まったばかりであり、このような状況下、異分野間連携におけるIoT高信頼化に関する実証実験は、産業界への先行事例は意義あるものだとIPAでは考えている。

今回の実証実験は製品品質が高いといわれている日本の産業界が、IoT分野でも「高品質」「安全」で先行するためのものなり、国際競争力の強化にもつながるとしている。 実証実験では、分野間に特化した異常検知の高信頼化の例として「異なる2つの情報を組み合せた異常監視機能の実現性」を実証する。これは、異なる2つのシステムが連携してサービスを提供する環境において、異なる2つの情報(例:電力情報と生産稼働情報)を組み合わせることにより、異常監視の信頼性を上げる実装例を示すものだという。

分野間連携実証実験概要

実証実験の環境と体制では、今後活用が増加すると予想されるオープンな規格を利用。具体的には、産業ロボット分野において共通的な方法で各装置にアクセスするための接続仕様「ORiN (オライン)」(Open Resource interface for the Network:ORiN協議会により制定された工場情報システムのための標準ミドルウェア仕様として、製造現場の各種装置に対して、メーカーや製品の違いを超えて統一的なアクセス手段を提供するソフトウェア)と、スマートエネルギー分野においてセンサ類、住設機器、家電製品等に適用可能な接続仕様「ECHONET Lite(エコーネットライト)」(エコーネットコンソーシアムが策定した通信仕様)を利用する。

実施に際しては、IoTの高信頼化を推進しているIPA、ORiN推進母体であるORiN協議会、ECHONET Liteの推進母体であるエコーネットコンソーシアム、およびECHONET Lite仕様に沿った実装ノウハウを有する神奈川工科大学の4者が、それぞれの有する技術、ノウハウ、環境を持ち寄り、IPAが実験を主導的に推進する。

今後、IPAではつながる世界の開発指針で示した異常検知の高信頼化の重要性を実証し、周知することにより、産業界でのリスクの認識と対策の進展に寄与するとともに、将来的には国内のみならず、IoTで先行しているドイツ・米国などの国々との高信頼化接続実験に発展させていくことを考えている。