NECと福田道路は1月31日、AI(人工知能)技術を利用し、路面の映像からわだち掘れとひび割れを同時に検出する「舗装損傷診断システム」を共同開発したと発表した。
近年、国内における道路の総延長は120万kmを超え、その多くを管理する国・自治体では、職員などによる路面点検の人員確保や高価な専用機器を用いた調査の費用負担などが課題となっており、効率的かつ計画的な道路の維持管理に向けた取り組みが重要になっているという。
新システムは、NECの最先端AI技術群である「NEC the WISE」の1つであるディープラーニング(深層学習)技術を搭載した「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」を利用し、一般的なビデオカメラを取り付けた自動車から撮影した路面の映像を分析することで、路面のわだち掘れとひび割れを同時に検出し、路面状況の劣化レベルの判定を可能にするという。
また、路面の撮影と同時に記録したGPSによる位置情報の利用により、地図データ上で路面状況の確認が可能だという。これらにより、従来の路面の目視点検や専用機器による調査と比べて、安価で効率的に路面の健全度の可視化を実現するとしている。
両社は、同システムを用いた一般道での実証実験において、専門技術者の目視点検と同等のレベルで路面のわだち掘れとひび割れを同時に検出可能なことを確認した。今後、さらに社会実証を重ね、実証データの公表を予定しており、2017年度をめどに実用化を目指す。
また、同システムを利用する路面の健全度の可視化に加えて、道路の補修計画の策定から補修工事の実施・評価までの一連の工程において、AI技術を利用する最適化を検討していく考えだ。
これまで福田道路では、舗装リサイクル技術の開発を進めており、老朽化した舗装路面の点検をAI技術で効率的に行い、独自のリサイクル技術(ヒートドレッシング工法など)も含めた、路面の維持管理に関する新たな取り組みを進めていくとしている。