科学技術振興機構(JST)は30日、平成29年度からスタートする新規事業「未来社会創造事業」のテーマ提案を同日から募集すると発表した。同事業は「科学技術によるイノベーションを通じて『社会から求められる科学で希望の持てる社会を実現したい』との思いを実現するため、社会の中に新たな価値を生み出す」(JST研究開発改革推進室)ことを目指して新設された。今回募集するのは同事業「探索加速型」の「重点公募テーマ」で、応募資格は企業、大学、個人といった所属組織や年齢は不問。JSTは「社会・産業が望む新たな価値」の創造につながる斬新なテーマの応募を期待している。

JSTの「未来社会創造事業』(探索加速型)テーマ提案募集のキャッチコピー(JST提供)

「未来社会創造事業」は「日本の競争力を強化するために新しい試みに果敢に挑戦し、非連続なイノベーションを積極的に生み出していくことが必要」との現状認識の下、「社会・産業のニーズを踏まえて経済・社会的にインパクトがあるターゲット(ハイインパクト)を明確に見据えた技術的にチャレンジングな目標(ハイリスク)を設定」、(それにより) 「民間投資を誘発しつつ、これまでの多様な研究成果も活用しながら実用化が可能かどうか見極められる段階を目指す研究開発を実施する」と位置付けている。平成29年度予算案の予算総額30億円。研究開発費としては5~10年程度、最大20億円規模を想定している。

同事業には「探索加速型」と「大規模プロジェクト型」がある。「探索加速型」は、企業、大学、個人を問わず広く重点公募テーマを募集し、応募の中から実施「重点公募テーマ」を策定。重点公募テーマごとに研究構想を改めて公募し、大学や国の研究機関、企業などによる個別の研究開発テーマ(研究実施者)を選定する。この仕組みは、自らは研究開発を実施しなくてもプロジェクトリーダーの立場で参加したり、研究開発成果を活用することができる。

JSTはこの新しい仕組みにより「研究開発を自らは実施しない企業や一般の提案も受けることで広い範囲の社会・産業ニーズをくみ取ることができ、若手研究者の新鮮で鋭いアイデアを集めることができる」などとしている。

「探索加速型」については「超スマート社会の実現」「持続可能な社会の実現」「世界一の安全・安心社会の実現」「地球規模課題である低炭素社会の実現」の4領域が設定されており、4領域で重点公募テーマを募集する。(募集要項)

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