日立産業制御ソリューションズは1月31日、鋳造シミュレーションシステム「ADSTEFAN」の最新版となる「ADSTEFAN ver.2017」の日本国内向け提供を開始したと発表した。
同バージョンでは、新たに温度解析ソルバを金型温度解析と凝固解析に適用。直交差分法では困難だった曲面形状の鋳物や鋳型の接触面における伝熱状態の評価精度を向上することが可能となり、これにより、混合要素の粗いメッシュでも高精度・短時間での温度解析を可能としたという。
また、製品をX線CT撮像装置で撮像し、撮像データのCT値を用いて引け巣や空気巻込み部などのボイド欠陥部を抽出して見える化することも可能とした。画像から抽出した欠陥部の情報と解析結果を、システム上で重ね合せることで一致率の数値化でき、比較検証精度の向上が可能となったとする。さらに、画像から抽出した形状をSTLファイルとして出力することも可能だという。
なお、同バージョンではライセンス管理の見直しが行われ、異なる解析の同時実行と複数CPUによる並列計算をより効果的に組み合わせることが可能となった。これにより、例えば、4CPUライセンスを所有している場合、従来は4CPU分の解析作業しかできなかったが、4台のPC別々で4CPUを同時使用できるようになり、最大で16CPUライセンス分の解析が可能となるという。
同社では、日本語のほか、英語、中国語の3言語対応とすることで、インドや中華人民共和国、東南アジア地域などへの提供も3月から行っていく予定としており、年間で150ライセンスの販売を目指すとしている。