日本ヒューレット・パッカード(HPE)は1月27日、アプリケーションの改変をすることなく既存Webシステムの多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)を実現する新しいソフトウェア製品「IceWall MFA Ver.4.0」を2月20日に販売すると発表した。価格は190万円~。また、これに併せて新たにテクノロジーコンサルティング事業統括に「認証技術開発センター」および「認証コンサルティング部」を開設する。

「IceWall MFA」の概要

新製品は、Webシングルサインオンソリューション「IceWall SSO」の技術をベースにHPEが開発。リモートアクセス、Webアプリケーション、クラウドサービス、FinTechなど、安全な認証が求められるシステムに対し、アプリケーションを改変することなく多要素認証を実装することで、認証セキュリティの強化を実現するとしている。

多要素認証の各要素としては、IceWall MFAの標準機能が提供する認証方式だけでなく、ワンタイムパスワード、FIDO(Fast IDentity Online:多要素認証というパスワードに代わる新しい認証技術標準)、統合Windows認証、ブラウザトークンなどサードパーティ製の認証製品が提供する方式も組合わせて利用が可能。

IceWall MFAをプラットフォームとして多要素認証の「エコシステム」を用意し、サードパーティ各社との連携を広く募るとともに、各種プロモーションや協業を行うことで連携各社のビジネスにも貢献するという。

新製品の特徴は、リモートアクセス、Webアプリケーション、クラウドサービスといった安全な認証が求められるシステムを多要素認証化することにより、システム認証を強化するほか、アプリケーションの改変ができないクラウドサービス利用時の認証に対応。

また、複数の認証方式の組合せや個々のシステムごとに異なる認証方式の組合せも設定可能とし、今後も新たな認証方式への拡張を予定している。さらに、サードパーティ各社はプラグインを開発することにより「アプリケーション改変不要」「複数の認証方式の組合わせ」といったIceWall MFAのアドバンテージを活用ができ、プラグインを開発するためのインタフェース仕様は近日、公開する予定だ。

さらに、IceWallを含めた認証セキュリティ分野強化の1つとして次世代認証の標準規格であるFIDOに準拠した生体認証環境構築サービスの提供を開始。スマートフォンの端末ロック解除ですでに普及している指紋認証などの高度な認証を、Webなどのオンラインサービスの認証にも適用し、なりすましリスク軽減に注力したサービスを実現するという。

将来的には、指紋認証、虹彩認証、ICカード認証、マトリックス認証といった数十種類以上の認証方式をIceWall MFAのプラットフォーム上で提供することを目指す。

一方、新たに開設する技術者100人体制の認証技術開発センターおよび認証コンサルティング部は、認証に関して汎用製品では対応できない顧客固有の要求を満たすカスタムソフトウェアの開発や、顧客の用途に応じたインテグレーションを提供する。

関連2部門では、顧客の状況に応じて認証セキュリティに関する最適な提案、設計、構築を行えるコンサルティングを提供し、汎用製品では満たせない顧客固有の認証セキュリティ要求に対しては、個別開発で対応するとしている。同社では、今回の新製品提供と関連2部門の開設により、認証セキュリティ強靭化を推進し、顧客の働き方改革推進をバックアップしていく方針だ。