米Nutanixは1月25日、都内で記者会見を開き、米国本社から来日した創立者 代表取締役会長兼CEOのディラージ・パンディ氏と、2016年11月にコーポレート マネージング ディレクター兼社長に就任した町田栄作氏が同社の戦略について説明を行った。

米Nutanix 創立者 代表取締役会長兼CEOのディラージ・パンディ氏

冒頭、パンディ氏は「ここ5~6年の間にエンタープライズの領域においてデータは大きな力を発揮しており、これを通じてハードウェアベースのアプローチからソフトウェアベースの取り組みに移行し、われわれはストレージにフォーカスしてきた。そして、ハイパーコンバージドインフラストラクチャという概念が登場した」と述べた。

同氏が説明するように従来は仮想化、コンピュート、ストレージなどが別々に存在していたが、1つのプロダクトとしてまとまったのがハイパーコンバージドインフラストラクチャだ。

そして、iPhoneを引き合いに出し「iPhoneは最初にハードウェアのコンバージェンスをもたらし、それから本当の意味でのプラットフォームが登場し、これにより他社でもアプリケーションをプラットフォーム上で構築が可能になり、単なる電話ではなくなった。一方で、ハイパーコンバージドインフラストラクチャは、プロダクトして提供しており、それ自体が最終地点であると考えられがちだ。次のレベル(プラットフォーム)に移行しなければならなく、拡張性のほか、セキュリティ、ネットワーク、IT管理、PaaSなどを連携することが重要であり、難しい部分でもある」と同氏は説く。

これからのハイパーコンバージドインフラに必要なものとは?

同氏は「これからは新の意味でのプラットフォームを構築し、そこにはネットワークやセキュリティ、IT管理、API、ワンクリック、自動化、プロビジョニングなどを連携させなければならない」と指摘する。

そのような状況を踏まえ「われわれは、ハイパーコンバージェンスを通じてコンピュートの上にストレージを組み合わせてきたが、今後はハイパーコンバージェンスがどのような意味をエンタープライズクラウドにもたらすのかということに取り組む。なぜなら、パブリッククラウドの世界ではハイパーバイザーや運用ソフト、システム管理用ソフトにコストはかけない。われわれはハイパーバイザー、運用ソフトなどを自社のサービスに構築したことで、単にコンピュートとストレージのコンバージェンスを実現しただけではなく、他社にはないポートフォリオを有しており、ハイパーコンバージドインフラストラクチャの中にコモディティサーバを展開することができる」と同氏は説明した。

今後の戦略としてパンディ氏は「これから実現しなければならないのが、われわれのテクノロジーを通じて、どのような形でクラウドのワンクリックの体験を提供できるかということであり、クラウドのワンクリックは1分以内に物事を実現することだ」との認識を示した。

一方、課題としては「ネットワークの要素も加えなければならない。このような動きは始まったばかりであり、孤立した要素ではなく、パブリッククラウドとエンタープライズクラウドを1つのオペレーティングシステムにまとめていくことが重要だ。そのため、われわれは継続的なイノベーションを目指す必要があり、最終ゴールはない。パブリッククラウドは別の予算で考えるべきなのか、もしくは1つのオペレーティングシステムとして取り組むべきなのかがエンタープライズクラウドの大きな課題と言えるだろう」と同氏は挙げている。

エンタープライズクラウドプラットフォームの概要

日本法人社長に就任した元デルの町田氏

ニュータニックス・ジャパン 社長の町田栄作氏

続いて、ニュータニックス・ジャパンの社長に就任した町田氏は同社の方針・戦略についてプレゼンテーションを行った。

町田氏は「われわれはハイパーコンバージドのリーディングカンパニーであり、日本では馴染みの少ないウェブスケールを実現していること、そしてハイパーバイザーの世界をインビジブルにサポートするほか、コンピュートのプラットフォームをオープンな形で提供できる。このようなことから、コンピュートベンダー、上位アプリケーションベンダーともベンダーニュートラル立場でビジネスができる。われわれは100%ソフトウェアの会社だということを日本マーケットにおいて、さらにプレゼンスを高めていく」と語った。

また「クラウドの世界で俊敏性や拡張性、柔軟性を考えたときに、ソフトウェアのアーキテクチャで実装するという新たな大きな変換点を迎えるだろう。全体的なITコストは1995~2015年の間で約3倍だが、運用コストは8倍になっており、運用や管理などの労働集約型の領域は自動化が進んでおらず、これからチャレンジしていく分野だ。われわれは、そのような領域に対しハイパーコンバージドの次の形として、エンタープライズクラウドのプラットフォームを用いて改善していく」と同氏は日本における事業展開について意気込みを語った。