MM総研は、国内企業9,242社を対象にIoTの導入状況調査を実施し、結果を発表した。
同調査は、企業に対しIoTの導入状況やIoTプラットフォームサービス(主にIoT環境を構築するためにカスタマイズされた「IaaS/PaaS」)を提供する事業者についてのブランドイメージなどを聞いたもの。2016年11月29日~11月30日の間、全業種を対象に国内企業9,242社に実施したWebアンケートに基づく内容となっている。
前回調査よりIoT導入率は1.1ポイント、導入検討率は4.6ポイント増加
回答企業全体(n=9,242)のうち、2016年度にIoTを導入している企業は1,109社(12.0%)で、15年11月に実施した調査結果の10.9%と比較すると1.1ポイント増加した。また、導入を検討している企業は23.9%で同4.6ポイントの増加となっており、IoT市場は徐々に増加していると見ることができ、2017年は製造業を中心に様々な業種での導入が期待されている。 導入企業の業種割合は「製造業」が40.6%と最も多く、次いで「情報通信業」が13.1%、「サービス業」が9.3%だった。「製造業」における生産効率の向上や製品の品質向上などの製造現場で取り組んできた改善活動や「情報通信業」における情報通信機器のメンテナンス・保守業務などの取り組みは、IoTへの親和性が高く、これらの業種で導入が進む理由としてあげられる。今後は、生産プロセス全体の最適化やメンテナンス・保守業務の更なる効率化、人材配置の最適化、顧客行動の分析などでIoT利用が期待されている。
サービス選定の重視ポイントは「総合力」
IoTを導入または導入検討している企業(n=2,150)にIoTプラットフォームサービスを選定する際に重視するポイントを聞いた。最も多く回答を得たのは、運用コスト(31.6%)。次いで、信頼性・可用性・保守性・保全性/完全性・機密性(26.7%)、セキュリティ(26.6%)が続いた。上位10項目までがそれぞれ15%以上の回答を得ており、サービスを導入する際は、コスト面だけでなく、信頼性、セキュリティ、サポート力、システム開発力、システム性能や分析力など、顧客が求める様々なニーズに対応できる「総合力」が重視される。 したがって、「重要なデータの流出や外部からのサイバー攻撃を防ぐセキュリティ対策」や「システムの信頼性・可用性を維持するサービス品質」、「構築・運用サポート体制の充実」、「収集したデータを利活用するためのコンサルティングやツール提供」など、多様なサービス機能およびソリューションを提供できる体制作りがサービス提供者にとって不可欠である。
「信頼性・セキュリティ」で強みを発揮する国内ベンダー
IoTを導入または導入検討している企業(n=2,150)に対して、「IoT」と聞いて思い浮かぶサービスのイメージ14項目(※1)と、IoTプラットフォームサービスを提供している主な事業者10社(※2)のブランドイメージの関係を聞いた。「費用が安い」では、Amazonが最も高く、三菱電機とSORACOMが続いた。「サービスの信頼性が高い」、「セキュリティ面で安心」では、NTTコミュニケーションズ、富士通、NECが上位にランクされた。「グローバルでの展開」、「革新的・先進的なサービス」ではGoogleが最も高かった。信頼性やセキュリティは、国内ベンダーが強みを発揮する結果となり、グローバルでの展開力やサービスの先進性ではGoogleをはじめとした海外ベンダーが高く評価された。
(※1 ブランド力がある・サービスの信頼性が高い・セキュリティ面で安心・サポート体制が充実・開発力が高い・業界最大手・パートナー企業が充実・事例が多い・サービスラインナップが豊富・グローバルでの展開・革新的、先進的なサービス・手軽に利用を始められる・事実上の標準・費用が安い)(※2 富士通・日立製作所・NEC・三菱電機・NTTコミュニケーションズ・Microsoft・Google・IBM・Amazon・SORACOM)