「おしり」「ビデ」といった温水洗浄便座のスイッチなどに代表される「トイレの操作ピクトグラム」を、メーカーを横断して共同で統一する動きが発表された。
「標準ピクトグラム」は昨今の温水洗浄便座の基本操作に関するもので、「便ふた開閉」「便座開閉」「便器洗浄(大)」「便器洗浄(小)」「おしり洗浄」「ビデ洗浄」「乾燥」「止」の計8種類。日本レストルーム工業会 会長(TOTO社長)の喜多村円氏がお披露目した |
標準ピクトグラムを発表したのは、TOTO、LIXIL、パナソニックなど温水洗浄便座を製造・販売する主要メーカーが加盟する「日本レストルーム工業会」。このピクトグラムは、加盟メーカー9社が2017年度以降の新製品で順次採用するほか、ISOによる国際標準化を進める見通しだ。
同工業会 会長のTOTO・喜多村円社長は、「操作の分かりにくさのために、(訪日外国人らの)温水洗浄便座の体験機会を逃しているとすれば残念。業界をあげてさらなる普及を進めたい」と語った。
温水洗浄便座の認知度は70%超え、しかし利用率は…
内閣府の調査によれば、温水洗浄便座の普及率は国内において80%を超えており、家庭のみならず商業施設や交通施設への導入も進んでいる。また、同工業会がアメリカ・イギリス・シンガポールの三カ国に向けて行った調査では、温水洗浄便座の「認知率」は70%以上と非常に高かったものの、実際に使っている人は回答者のうちわずか3%と大きな乖離があった。
こうした状況に加え、政府が2020年までに訪日外国人を4000万人に倍増させる目標を掲げる情勢を受け、それまで各社が独自のピクトグラムを使っていたものを会社を横断して標準化し、「はじめて使う人にもわかりやすい」製品を目指す運びとなった。
ピクトグラム標準化、最も苦労した機能は?
ピクトグラム標準化にあたって、同工業会では加盟各社のデザイナーで構成されるワーキンググループを結成。グループ内で検討を重ねたピクトグラムに対し、日本ならびに海外のユーザーを対象としたWebアンケートで検証を行い、「直感的なわかりやすさ」や「各ピクトグラム間での統一感」なども考慮の上、今回のデザインに決定した。
今回の標準化のプロジェクトリーダーを務めた濱﨑正直氏によれば、中でも最も時間を要し、苦心したのは「便器洗浄」のピクトグラムで、線と点で便器の上面から見た水の流れを表現したシンプルなものとなっている。現行機種ではリモコンの上面に配置されることが多く、文字に依った情報伝達が主体となっている物もあるが、基本的にはこのピクトグラムを順次採用していく方針だという。
また、温水洗浄便座の主要機能である「おしり洗浄」では、水滴を示す点が小さいと「痛そう」という意見もあったため、点の大きさを調整したとのことだ。
なお、この標準ピクトグラムはISOの「機器装置用図記号」として申請予定。また、以前より開設している五カ国語対応の情報サイト「トイレナビ」での情報提供の拡充も併せて実施する。
■参考:現行製品の各社のピクトグラム