三菱マテリアルは1月11日、ハイブリッド自動車の高出力モーター電源制御用インバータをはじめとする次世代パワーモジュール向けに、低温で分解する有機分子でコーティングされた銀粒子を主成分とする焼結型接合材料を開発し、サンプル出荷も開始したと発表した。

SiCやGaNなどの200℃以上の高温環境下でも動作可能な次世代半導体素子の結合には、従来、界面活性剤などでコーティングされた銀粒子を主成分とする焼結型接合材料などが用いられてきたが、ボイドが少ない接合増の形成には、加熱中に高い圧力を加える工程が必要であったり、高温環境下での周辺部材の劣化などの懸念などの課題があった。

同製品は、従来品と同等の接合強度(20MPa以上)と耐熱性(200℃以上)を実現しつつ、加圧工程を省くことが可能なほか、導電性接着剤なみの加熱条件(150℃以上60分)での焼結を可能とした。また、10mm角以下の高温半導体素子において、従来品よりもボイドが少ない接合層を形成することも可能としたという。

なお、同社では、こうした特性から、次世代パワーモジュール向けの焼結型接合材料としての利用を見込むとするほか、高い熱伝導率を必要とするLEDチップなどの高発熱素子への応用も進めていきたいとしている。

今回開発された焼結型接合材料

接合層断面の走査型電子顕微鏡像。上が今回開発した材料。下がボイドの例。ここでは接合層内に形成される10μmを超える空隙を示している。また、1μm以下の空隙はマイクロボイドと呼ばれる