Adobe Systemsは、契約書や承認用文書の送信、署名の取得からトラック管理まで同一性を保ったデジタル文書のワークフローを提供するMicrosoft Dynamics対応Adobe Sign最新バージョンの提供を開始した。

Microsoftが7月に開催した「Microsoft World Partner Conference 2016」では従来のDynamics CRM、Dynamics AXのMicrosoft Dynamics 365への統合も発表されており、日本においても11月にパートナー企業と日本マイクロソフトが協業によるビジネス推進を促進するプログラム「Microsoft Dynamics Partner Starter Program」もスタートさせている。

Microsoft Dynamics 365は、人工知能や機械学習により導き出されるインサイトの提示などインテリジェンスの標準装備し、営業支援や顧客サービスにプロジェクトの自動化、マーケティングやプロジェクト会計や財務会計、生産管理やサプライチェーン管理までビジネスに必要な幅広いアプリケーション群を構築できる。ERPとCRMのビジネスデータを共通データモデル(CMD)として連携させ、コーディングすることなく自社でビジネスアプリとして展開できる「Microsoft PowerApps」やパートナーが提供するソリューションやアプリのポータル「Microsoft AppSource」など業界業種にあったソリューションやアプリを広く入手することも可能になる。

「Adobe Sign」公式サイト

「Adobe Sign」は、Adobe Systemsが提供する電子サイン・電子署名ソリューションで、デジタル文書の不正防止やデジタル文書を用いたフローの改善にも寄与する。業務プロセスに対しての合意や記録の受理を示す"電子サイン"と第三者機関による証明ベースの同一性の認証を行える"電子署名"の双方を1つのソリューションで実現できるものだ。今回、同社が提供を開始した新バージョンではMicrosoft Dynamics 365と統合した運用が可能になる。

Adobe Signライブラリから共通の文書フォーマットを作成し、Dynamics上の情報を活用して署名依頼を送信する機能、Dynamics上から文書の閲覧状況、開封状況、署名の確認など承認状況を追跡できる機能などが追加されており、承認プロセスの短縮や迅速で確実な契約締結など企業内におけるフローの電子化や内部統制をデジタルの力で進められる。

どのような取引でも正式な承認や合意が必要であり、合意書、見積書、契約書などでもその取引が完全に成立したとは言えない場合が出てくる。公式ブログには、新バージョンの提供は、これらを既存のシステムの中に組み込むという役割を果たし、また9月26日(現地時間)にMicrosoft Ignite Conferenceで発表されたAdobeとMicrosoftのデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)における提携に基づき、Adobe製品とMicrosoft Azure、およびMicrosoft Dynamics 365の統合を通じ、企業の顧客とのエンゲージメントの向上を支援するものである旨が記してある。