市場動向調査会社である英IHS Markitは12月22日(欧州時間)、中国メーカーからのスマートフォン用有機ELパネルの出荷量が2016年第3四半期にはじめて100万枚を超えたと発表した。

同時期の最大手であるSamsung Displayの出荷量は9970万枚。対する中国勢(EverDisplay Optronics(EDO)、Tianma Micro-electronics、Govisionox Optoelectronics)の出荷総量は140万枚で、市場全体(1憶枚超)の1%程度でしかないが、少なくともここまで出荷できる体制が整った背景には、これらの中国メーカーが製造技術の向上を図ってきたことに起因するとIHSでは見ている。

中国スマートフォンブランドの有機ELの搭載率について、同社の中小パネル担当プリンシパルアナリストのTerry Yu氏は、「中国スマートフォン・ブランドメーカー、とりわけOPPOとViVoからの強い需要により有機ELパネルの需要は高まっている」と説明するほか、「OPPOやViVo以外の多くの中国スマートフォンメーカー、例えばMeizu、Gionee、Lenovo、Huawei、そしてXiaomiなどが有機ELパネルを採用しようとして検討を進めている。そのため、中国の有機ELパネルメーカーは、さらなる注文を受けつけるため、量産歩留まりを上げ、製品の品質を向上する必要性に直面している」と、需要が供給を上回る勢いであるとする。

IHSによると、中国製スマートフォンへの有機ELの搭載率は、2015年には8%だったものが、 2016年には13.6%に高まっているが、Samsung Displayからの供給がひっ迫しているため、中国スマートフォンメーカーは何とか中国のパネルメーカーから調達しようとしているという。実際に、XiaomiとHuaweiはSamsungからの有機ELパネル確保に失敗した後、中国を代表する有機ELパネルメーカーであるEDOと購入契約を結んだ。EDOは、上海で第4.5世代の有機ELパネル工場を2014年より稼働させており、2016年第1四半期に20万枚だった生産能力を第3四半期には100万枚まで引き上げている。また同様に、TianmaとGovisionoxはZTEと有機ELパネルの2次的供給者の契約を締結している。

なおYu氏は「中国のパネルメーカーがSamsungに脅威を与えるには、まだまだ時間がかかるが、中国のスマートフォンブランドにとって2次的あるいは3次的な供給者として重要な役割を担いつつある」としており、Samsungがフレキシブルな有機ELに注力しようとしている現在、中国勢が従来のフレキシブルではない有機ELパネル市場でのシェア向上を狙っていく可能性が高いとしている。

図1 主要な中国ブランドスマートフォンの有機ELパネル搭載率推定値(%)。緑色が2015年、灰色が2016年を示す (出所:HIS Markit、2016.12)