半導体市場調査企業である米IC Insightsは12月20日(米国時間)、2年連続でマイナス成長に陥った半導体メモリ市場だが、2017年にはNAND型フラッシュメモリおよびDRAM両方の価格高騰に支えられて前年比10%増となる853億ドルに達するとの見解を発表した。
これは同社が2017年1月に発行する予定の「McClean レポート20周年記念版」に掲載されるメモリ市場予測の要約という形で公開されたもの。半導体メモリ市場は2013年、2014年に連続して20%以上成長した反動で、2015年にマイナス成長に陥った。これまで成長を支えてきたパソコンの需要が振るわず、結果として供給過剰に陥り、メモリの在庫がだぶつきだし、2015年後半にはメモリ価格が急下落。最終的に同年、メモリ市場は3%のマイナス成長となる780億ドルとなった。市場の弱さは2016年前半まで続いたが、年後半に入ってメモリ価格が値上がりに転じ、市場は強含みのままで年越しする見通しだが、通年では、前年比で1%のマイナス成長に留まる予測となっている。
では2017年がどうなるかだが、DRAMおよびNANDの平均販売単価は引き続き上昇傾向を維持し続けており、最終的に高止まったままであることが見込まれるため、半導体メモリ市場全体としては、前年比で10%成長の852億ドルという史上最高値を更新する見通しだという。その後も、メモリ市場は拡大を続けるとIC Insigtsでは見ており、2020年にははじめて1000億ドルに達し、2021年には1100億ドルに達するとしている。
このため2016~21年にかけてのメモリ市場の年平均成長率は、同時期のIC市場全体の年平均成長率よりも2.4ポイント高い7.3%と予測されている。また、数量ベースでは、年平均5.6%で成長するとしており、メモリ市場の拡大は数量の伸びよりも平均販売単価の上昇によるところが大きいようだ。メモリの平均販売価格は、2015年に3%、2016年に10%下落したが、今後は2020年を除いて毎年平均1.8%で上昇すると予測されている。
なお2013~2014年にかけてメモリ市場のけん引役となったDRAMは、2015年に3%、2016年に10%のマイナス成長となり、メモリ市場全体をマイナス成長へと転じさせる元凶となった。ただし2017年のDRAM市場は、価格上昇に支えられ、11%の成長になると予測されるほか、2016年に年間を通してメモリで唯一の成長分野となったNAND市場も2017年は同10%の成長が見込まれており、メモリ市場全体でも10%の成長が期待されるとIC Insightsでは予測している。