セールスフォース・ドットコムは12月13日、都内でクラウドイベント「Salesforce World Tour Tokyo 2016」を開催した。同イベントではセールスフォース・ドットコム代表取締役会長 兼 社長の小出伸一氏の基調講演に加え、各種セッションなどを行った。
冒頭、小出氏は「われわれのコアバリューは信頼と成長、イノベーション、平等で、その中でも平等については重要な経営指標だ。チーフ・イクオリティ・オフィサーを任命したほか、ダイバーシティに注力し、2016年の新卒採用のうち40%は女性であり、3人のパラリンピアンを正社員として雇用している。そして、社会貢献の取り組みでは就業時間の1%を地域貢献活動に費やし、株式の1%を助成金としてNPOに寄付していることに加え、製品の1%をNPOや教育機関に無償提供する『1-1-1モデル』を展開している」と近況を説明した。
日本市場へのコミットメントについて同氏は「エコシステムの拡大や投資を継続するほか、顧客の要望に応えるため2017年に関西地区で第2データセンターを開設する。さらに、日本政府との連携も強化しており、地方創生プログラム『ふるさとテレワーク』では和歌山県白浜町と共同で同町にサテライトオフィスを開設し、ワークスタイル変革などの実証事業に参画している」と述べた。
続いて登壇した米セールスフォース・ドットコム Salesforce Sales Cloud GM & EVPのアダム・ブリッツァー氏は「エンタープライズソフトウェアの変革としては『インテリジェンス』『スピード』『生産性』『モバイル化』『つながり』の5つが重要なものだ」と語る。
スピードについて同氏は「2015年にモバイルアプリの『Salesforce1』のプラットフォーム上でUIを構築するコンポーネントで構成したSalesforceのプラットフォーム『Salesforce Lightnig』を発表し、生産性やスピードに関するアプリを提供しているほか、『Salesforce Commerce Cloud』はコマースの統合を迅速に実現する」という。
また、同氏は生産性に関して「8月に買収したQuipが提供するプロダクティビティツール『Quip』は、チームやコラボレーションなどで仕事をするときに資料の間違いなどを回避できる。チームでの仕事の生産性を向上させるためのソリューションであり、チャット、コメントなどはQuipに組み込まれるほか、どのデバイスでも使用できる」と説く。
さらに、モバイル化については「『Salesforce LiveMessage Convertional Service』は、セールスフォースのUIでLINEをはじめとしたメッセージングアプリやSNSなどを顧客とのエンゲージメントにも活用することが可能だ。また、150万人のユーザーを抱えるSalesforce1は新たに『My Salesforce1』を発表し、企業はSalesforce1をブラウザやロゴ、アイコンなどをブランディングし、従業員はオリジナルアプリとして使用できる。つながりに関してはIoTプラットフォームとして『Salesforce Thunder』を展開しており、どのようなデバイスでもつなげ、顧客の変革を支える」と訴えた。
人工知能機能を提供する「Salesforce Einstein」
基調講演では、先日発表したEinsteinについても言及した。EinsteinはAI機能を提供するプラットフォームで、さまざまなデバイスから集めたデータを分析し、モデルを構築した上で発見や予測、推奨、自動化の4つのカテゴリーに分けることが可能だという。
これまで、Salesforce customer success platformは、下層にセキュアなインフラストラクチャ、その上にThunderをはじめとしたデータ層、そしてLightning、アプリだったが、Einsteinを同プラットフォームに組み込むことで、Sales CloudやService Cloud、Marketing Cloudなどのそれぞれのアプリで稼働する。
これにより、見込み客のリードスコアリング、商談に関するインサイト提示、顧客の問い合わせ内容の分類、マーケティング活動における投資とリターンの見込みなど30以上の機能を有する。同プラットフォームは継続的に進化しており、75万の顧客の声を反映したほか、Lightningには500以上の機能が組み込まれているという。