自社の持つデータアセットをAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通してオープンにすることで、その利用価値を増加させる。また、他社サービスのAPIを利用することで新たな価値を生み出すAPIエコノミー。
古くはデジタル地図の利用をオープンにして利用価値を高めたGoogle Maps。企業サイトにも同APIを使った案内地図を載せているケースはよく見られる。最近では、自動車配車サービス「Uber」もAPIを開発たちのアプリに簡単に実装できるように公開しているサービスだ。
スマートフォンアプリに手軽に機能を搭載させることで利用者を拡大させている。サービスを利用した新たなサービスを生み出す企業やデベロッパーたちもイノベーターとして現れ、協業や提携といった機会も増していく。New York TimesのようなメディアからNIKEのようなブランドまでラボを持ちAPIを公開して、サービスやユーザーを広げている。
APIを公開するには、セキュリティやネットワークへのアクセスの負荷なども考慮に入れなければならない。認証やトラフィック制御、運営保守など、このAPIエコノミーを支えるAPI管理の2015年度国内での売上金額が前年度比80%増という急激な伸びを示していると独立系ITコンサルティング・調査会社であるアイ・ティ・アール(ITR)が13日に発表した。大企業を中心に導入が進んでいるという。
市場としては、3億円前後とまだまだ大きな規模ではないものの、同社の推定では2016年度は2倍前後の6億円、2017年度は10億円と伸びており、2020年度では5.6倍の15億円と予測している。2016年度は新規参入ベンダーの増加により認知が進んでおり、現状ではシステム効率化、社内外に存在する複数のシステムをセキュアに連携するために導入されるケースが多いとしている。
今後はAPIの公開、それに伴う事業の創出への期待が需要喚起を加速させ、デジタルイノベーションやデジタルトランスフォーメーションを実現するコア技術の一つとして導入が進んでいくと予測している。