インテージは、エブリセンスジャパンが開発した情報流通プラットフォーム「EverySense」に参画し、インテージが保有する生活者データと「EverySense」を介して生活者や企業等から提供されるデータとを組み合わせることで、生活者を360°理解するための新たなリサーチソリューションやコミュニケーション領域での新たな広告商品等の開発に取り組むと発表した。
「EverySense」とは、世界中のあらゆるセンサーデバイスが生成するデータとそのデータを利用して新たな事業やサービスの開発、学術研究に取り組む企業・研究機関が求める情報の「希望条件」をマッチングさせ、データの売買を仲介するIoT情報流通プラットフォーム。提供者が生活者の場合、情報の提供範囲を生活者自身で設定を行い、取得側の評価や使用目的、第三者提供有無など条件を確認した上で提供の許諾を行い、非開示とした情報が提供されることは無い。
現代では、ライフスタイルが多様化する生活者を理解して最適なマーケティング活動やサービスを提供するため、企業によるデータの収集が進んでおり、スマートフォンやIoTデバイスの進化と共に、オンライン・オフラインに関わらず生活者の行動に紐づくデータの収集がこれまで以上に容易になってきている。しかし、生活者は日々増え続けるアプリ・サービス・デバイスの規約やプライバシーポリシーや、付合契約による弊害などの様々な要因によって7割の生活者は規約やプライバシーポリシーを確認していないという調査結果が出ているという。その結果、生活者の意図しないところでのデータ取得、第三者へのデータ提供をしてしまい、結果として生活者のプライバシーを侵害してしまうリスクが発生している。
内閣官房のIT総合戦略本部では、企業間のデータ流通に個人が関与することで適切な本人同意に基づくパーソナルデータの流通を実現するための仕組みの検討が始まっており、「PDS(Personal Data Store)」や「情報銀行(情報利用信用銀行)」と共に「EverySense」が代表例として挙げられる「データ取り引き市場」が議論されている。「EverySense」は、生活者個人がデータ所有者として参加し自身で提供先を選択できるため、生活者のプライバシーを尊重した安心・安全なパーソナルデータ流通が可能になる。
今回、インテージは「EverySense」を介してデータを取得する立場として参画し、同社からのデータ提供は行われないという。生活者による自己情報コントロールがより困難になるIoT時代のデータ流通において、生活者から適切な許諾を得た上で質の高いディープデータを取得することが狙いとなっており、また、生活者主導のデータ流通時代に適したマーケティングの模索とソリューション開発を進めると共に、「EverySense」に参画する他企業との連携も検討していくということだ。