富士通研究所は12月5日、SSDなどのフラッシュデバイスを複数用いたストレージシステムであるオールフラッシュアレイ向けに、高速なインメモリのデータ重複除去技術を開発したと発表した。データ書き込み時の応答速度が従来方式より最大2倍高速なストレージシステムの実現が可能となるという。
最近では、重複除去機能をオールフラッシュアレイに搭載したメモリ上で行うインメモリ重複除去技術が登場しているが、同社によれば、従来技術では、データを書き込む前に、複数のフラッシュ装置を接続するネットワークを介して重複データを検索する処理が入るため、ストレージシステムを大規模化・高速化すると、検索処理時間がオーバーヘッドとなりデータ書き込み時の応答速度が遅くなるという課題があったという。
富士通研究所が今回開発した新しい重複除去技術では、オールフラッシュアレイを構成するストレージ装置が連携して、空いているメモリ(キャッシュ)に書き込みデータを一旦保持することで書き込みを完了させ、その後、サーバがメモリからのレスポンスにより次の書き込み作業のための準備を進めている間に、並行してストレージ装置間で通信を行って重複データを検索し、重複を除去してSSDへ最終的に書き込む。
ただ、後から重複除去を行う手法は、ストレージシステムのネットワーク負荷が低い場合は従来方式に比べて高速な応答速度になるが、負荷が高いときにはネットワークが混雑し、装置をまたがったデータ書き込み時間が長くなることで、従来方式より応答速度が低下するという。
そこで今回、応答速度の最適化技術も開発し、従来手法と新しく開発した重複除去手法の2つの手法のうち、実際の応答時間を計測した履歴を基に、平均的な応答時間の期待値を計算することで、応答時間が短くなる手法を自動的に選択する。
富士通研究所では、今後、オールフラッシュアレイのさらなる高速化技術の開発をすすめ、2017年度以降に富士通のストレージ製品への搭載を目指すという。