市場動向調査企業の台湾TrendForceは、2016年第4四半期のPC-OEM市場向けMLC NAND採用クライアントグレードSSDの平均契約価格は前四半期比で6~10%の上昇が見込まれること、ならびにTLC NAND採用SSDも同6~9%の上昇が見込まれることを発表した。
TrendForceでは、こうした背景として、Samsung Electronicsを除くNAND型フラッシュメモリサプライヤが、3D-NAND技術への移行において依然として問題を抱えていることを指摘しているほか、主要サプライヤが、引き続き収益性の最大化を模索しており、結果として、メインストリーム向けSSDの契約価格は、2017年第1四半期も上昇が続くと予想している。
止まらないノ―トPCへのSSD搭載
TrendForce上席調査マネージャーであるAlan Chen氏は「SSD価格の高騰により、128GB/256GBのSSDと500GB/1TBのHDDの価格差は2016年後半に予想より広がった。それにもかかわらず、PC-OEM市場におけるSSDの需要は、SSDが価格対性能比でHDDを上回っているため、大きな勢いを増している。ノートブックPCへのSSD採用ペースは、民生用、業務用ともに我々の予測を上回っている」と述べている。
また、同氏は「NAND型フラッシュメモリの供給不足が続いている状況にかかわらず、世界のノートブックPC市場におけるSSDの採用率は2016年で30%を上回り、2017年から2018年にかけて50%を超えることが予想される」とさらに需要が拡大すると予測している。
ノートPCとSSDの出荷が第3四半期に増加
世界のノートブックPCの出荷台数は、2016年第3四半期に増加した。新製品のリリースが相次いだのと、クリスマス商戦前の第3四半期は伝統的な繁忙期と言うことで、PC-OEM市場におけるノートPC用SSDの出荷台数は前期比25~26%増加し、ノートPCのSSD採用率も同時期に35~36%に達した。
第3四半期のクライアント向けSSD(ノートブック、デスクトップPC、その他の製品向けを含む)の出荷台数は第2四半期比15~20%増の3230万台に達したものの、前四半期からNANDフラッシュの積み増し在庫が相当数あったため、対応できたようだ。
第4四半期のSSD出荷数量は2~3%増
TrendForceは、第4四半期にNANDフラッシュの供給が逼迫し、TLC NANDチップの価格が引き続き高水準で推移することで、メモリモジュールメーカーのフラッシュメモリ在庫が逼迫する可能性が高く、第4四半期のクライアント向けSSDの出荷台数は前四半期比で2~3%程度に留まると予測している。また、2016年に出荷されているSSDの大半は、16nmプロセスと15nmプロセスで製造されたNANDフラッシュを使用しているほか、TLCベースのSSD出荷量がMLCベースのSSDを上回り、市場の主流になると予想している。
また、2016年下期のSSDのインタフェースを見ると、SATA IIIが主流のインタフェースとなっており、2016年のPCIe搭載SSDの比率は20%前後にとどまることが見込まれているが、2017年には急速に拡大し、30~40%に達する可能性があるという。これは、SSDコントローラチップの価格が低下するため、PCIe対応SSDを提供するブランドが増加することが期待されるためであるという。