エプソンは11月30日、2015年12月に発表した乾式オフィス製紙機「PaperLab A-8000」を商品化し、2016年12月から販売を開始すると発表した。
PaperLab A-8000は、使用済みのコピー紙を原料として新たな紙を生産できる乾式のオフィス製紙機。大量の水を使用する一般的な製紙方法と異なり、少量の水しか必要としないため、給排水工事が不要でオフィスのバックヤードなどに設置できる。
同製品はエプソンの独自技術「ドライファイーバーテクノロジー」を活用しており、機械的衝撃で水を使わずに使用済みの紙を綿のような細長い繊維に分解する"線維化"、結合素材「ペーパープラス」で繊維を結合する"結合"、結合した繊維を加圧して新たな紙にする"成形"の3工程で新たな紙を作る。大量の水を使わないことや紙の調達を減らすことで環境面負荷の低減につながるほか、機密文書の情報を完全に抹消できるためセキュリティの向上が望める。
用途に応じて密度や厚み、形状をコントロールすることでA4やA3サイズの紙、名刺などに使用できる厚紙を生産でき、白色度の向上や色付けも可能。生産する紙の厚さにもよるがA4用紙であれば、1時間あたり約720枚を作れる。また、生産した紙は2~3回再生できる。
エプソンの試算では、使用環境の影響を受けるものの市場購入価格より安く新しい紙を生産可能(保守費用は含まず)だが、どちらかというと機密情報の処理コストに対するインパクトの方が大きいという。本体サイズは2.6m(幅) ☓ 1.2m(奥行) ☓1.8m (高さ:突起部分は除く) 。価格はオープンプライスで、予想市場価格は2000万円台前半となっている。
エプソンは今後、PaperLab A-8000の導入を計画しているペーパラボプレミアムパートナー向けに12月より順次販売を開始し、生産した新たな紙の活用法やオフィス内での業務を通じた運用方法など、実使用データやアイデアを提供してもらいながら商品価値を高めていくとしている。なお、プレミアムパートナー以外の顧客に対しては2017年秋頃に販売を開始する予定。