WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)は11月29日、11月15日~17日にかけて開催された半導体市場予測会議において、2016年の世界半導体市場の成長率は前年比0.1%減のほぼ横ばいとなること、ならびに2017年は同3.3%増となるとの秋季予測を発表した。

同予測はWSTS参加半導体メーカー50社の9月までの実績値ならびにマクロ経済、主要電子機器の動向などをもとに作成されたもの。半導体メーカーの国籍や生産工場の場所に関係なく、半導体製品が半導体メーカーから第三者に販売された地域を対象にしたものとなっており、例えば日本市場における販売額としては、世界の半導体メーカーが日本において第三者に販売した製品の金額となる。

今回の予測では、各地域市場および主要な電子機器において力強さに欠けた結果、先述の通り、2016年は同0.1%減と予測されたが、2017年は同3.3%増、2018年は同2.3%と緩やかな成長が期待されており、この結果、2015年から2018年までの年平均成長率は1.8%となり、市場規模も2018年には3540億ドルに達すると予測される(ドル-円の為替レートは2015年が121.1円、2016年が106.9円、2017年以降102.4円で計算)。

WSTSによる世界の地域別半導体市場規模。2016年以降は予測 (WSTSの数値をもとに編集部が作成)

また、2016年における製品別の市場(ドルベース)は、ディスクリートが前年比4.2%増の194億ドル、オプトが同3.6%減の321億ドル、センサは同22.6%増の108億ドル、IC全体は同0.7%減の2727億ドルと予測され、ICの製品別では、メモリが前年比3.8%減、ロジックが同2.7%減、マイクロが同2.3%増、アナログが同4.8%増という予測となっている。

2017年はディスクリートは前年比2.9%増の市場規模200億ドル、オプトは同2.9%増の330億ドル、センサは同8.7%増の117億ドル、IC全体は同3.2%増の2814億ドルと予測され、ICの製品別では、メモリが同4.4%増、ロジックが同2.7%増、マイクロが同1.2%増、アナログが同4.9%との予測となっている。

WSTSによる半導体製品別の世界市場規模。2016年以降は予測 (WSTSの数値をもとに編集部が作成)

WSTSによるIC製品別の世界市場規模。2016年以降は予測 (WSTSの数値をもとに編集部が作成)

WSTS日本協議会では、ロジックが2017年にプラス成長になるとの予測について、2015年にハイエンドスマートフォンが伸びた反動が2016年に生じた結果のマイナス成長で、2017年にはその反動もあり、プラス成長になると判断したとする。また、半導体市場全体として、自動車分野が電装品の搭載率の上昇やADASの進展などによって存在感を増してきており、特にセンサならびにアナログが伸びているとするほか、センサは自動車用途以外でも伸びており、IoT関連での活用が進みつつあるのではないか、としている。

なお、日本市場については2016年が円ベースで前年比8.9%減の約3兆4318億円となるとの予測としているほか、2017年が同1.9%減の約3兆3661億円、2018年が同1.8%増の約3兆4252億円との予測としており、2016年の減少の最大の要因は、比率が最も高いオプトに含まれるイメージセンサの出荷数が減少したことによるものとしている。