インクリメントPと富士通交通・道路データサービスは11月28日、インクリメントPの地図情報技術と富士通交通・道路データサービスのスマートフォンを利用する舗装診断技術を組み合わせ、ASEAN地域の発展や日系企業の現地活動に役立つ新たな道路関連情報サービスの実現を目指し、「舗装劣化状況把握技術の実証実験」のタイでの開始を決定したと発表した。
インクリメントPは、ASEAN地域におけるデジタル地図データの整備拠点となる子会社INCREMENT P ASIAを2015年1月にタイのバンコクに設立。デジタル地図整備を進め、地図・位置情報サービスを通じたASEAN地域の経済発展と日系企業の現地活動を支援する取り組みを行っている。
一方、富士通交通・道路データサービスは、2013年6月25日(当時は富士通)から、スマートフォンを利用した道路の舗装点検・パトロールを支援するクラウド・サービスである「道路パトロール支援サービス」を提供しており、千葉県柏市を始めとして10以上の自治体が既に実務で利用している。
今回のタイにおける実証実験は、インクリメントPが保有する調査車両に富士通交通・道路データサービスの道路パトロール支援サービスを搭載し、走行時の振動データなどを常時収集することで、路面の状態や経年劣化の把握を行うもの。
また、取得した道路状態の評価結果は、インクリメントPの地図情報プラットフォームを利用して可視化した上で、多様な情報コンテンツとの連携により、道路アセットマネジメント分野における利用可能性を検証する。
同実証実験により、タイにおける技術適応性を評価し、地図情報技術と舗装診断技術の融合による新たな道路関連情報サービスの実現や、同情報を利用する地図情報プラットフォームの構築を検討していくとしている。
なお、今回の提携は、国土交通省が事務局を務める「インフラメンテナンス国民会議」のピッチ・イベントを契機とする技術連携が結実した成果といい、その第1弾の取り組みの1つ。
今回の発表に関して、国土交通省担当者が「インフラ老朽化は喫緊の課題であり、インフラメンテナンスに優れたイノベーションを生み出すこのような企業連携はインフラメンテナンス国民会議の目指しているものの1つです。国民会議では、このような取組みの他、技術開発に向けた官民連携も促していきたいと考えています。また、海外のインフラメンテナンス市場は我が国の数十倍と推定されており、このような企業連携によって海外市場に展開できる技術開発が進むよう国民会議の運営に努めて参ります」とコメントしている。