富士通と富士通九州システムズ(FJQS)は11月28日、フィンランドに本社を置き農作物の生産販売をてがけるRobbe's Little Garden(Robbe's)との共同出資により、農業ICTシステムを導入した植物工場を活用し、農作物の生産・販売を行う新会社「Fujitsu Greenhouse Technology Finland(FGTF)」を同国で設立し、11月17日に事業を開始したと発表した。

新鮮な農作物を供給するには、消費地に近い場所で生産することが重要となる。北欧では、冬季の日照時間が短く日差しも弱いため、その期間は農作物の生産が難しい。そのため、フィンランドでは気候の影響を受けない植物向上事業の支援に力を入れているが、自国に需要を満たす生産量には届いておらず、一部輸入に頼っている。特に葉物野菜の場合は、主に欧州南部で生産されたものが輸送されているため、収穫から消費者に届くまでに時間を要し、鮮度が低下してしまっている。

FGTFでは、富士通の食・農業分野向けクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Society Solution 食・農クラウド Akisai」などを利用し、各種センサー情報の収集や生産施設内の機器制御を行うハードウェア、およびRobbe'sの生産技術を組み合わせて栽培する。LEDを用いた完全人工光で作物を生育し、その生育状況に合わせて棚を自動で移動させる多段式栽培棚を活用した効率的な栽培を、空調などの設備の自動制御も含め全自動で行うフルオートメーションの植物工場を実現するとしている。

LED、多段式栽培棚を用いて栽培されている葉物野菜

今後は、ベビーリーフやリーフレタスなどの葉物野菜を中心に、2017年度上期より本格生産を開始し、2017年内より出荷を開始するとともに、Robbe'sの販売網を活用してフィンランド市場向けにビジネスを展開していく予定だ。