JFE スチールは11月24日、1470MPa級冷延ハイテンを新たに開発し、バンパーレインフォースメント(バンパーR/F)として実用化したと発表した。常温で成形する冷間加工による自動車部品の強度としては、世界最高強度だという。
バンパーR/Fは、衝突時に乗員を保護する自動車前後部の部材で、衝撃を受けとめるために鋼板の高強度化が求められる。しかし、高強度化するほど成形加工が難しくなり、また一般的に強度が1180MPa級以上の材料で発生する、プレス成形後の静的な脆性割れである遅れ破壊の懸念があり、これまでは主に980MPa級ハイテンが使用されていた。また、鋼板を高温に加熱してプレス加工するホットプレス工法が採用された例もあるが、生産性および製造コストに課題があった。
今回同社は、西日本製鉄所にある独自のWQ方式(水焼入れ)連続焼鈍プロセス(JFE-CAL)を活用し、冷間加工用の鋼板としては世界最高強度の1470MPa級冷延ハイテンを開発。これはWQ方式の極めて高い冷却速度(1000℃/秒以上)を利用して高強度化し、遅れ破壊の原因となる合金の添加を極限まで低減することで、高強度と耐遅れ破壊特性を両立させたことによるもの。
今後は、今回実用化したバンパーR/F だけでなく、ドアインパクトビームや骨格部品など、高強度が求められる他の自動車部品への展開も目指すとしている。