米オートデスクは11月15日から17日(現地時間)まで、米ネバダ州ラスベガスで年次イベント「Autodesk University 2016」を開催した。同イベントでは、次世代のものづくりを実現するテクノロジーとしてジェネレーティブ・デザインがクローズアップされ、同社CTOのJeff Kowalski氏が同テクノロジーを適用した新製品「Dreamcatcher」を2017年前半にリリースすると発表した(製品名はDreamcatcherとは違ったものになる可能性もある模様)。

Dreamcatcherは"コンピューターが"デザインを生み出す

ジェネレーティブ・デザインとは、耐久性や重量などの要件を設定することでコンピューターがデザインを自動生成する技術で、設計の効率化や人間には思いつかない形状が生み出される点が特長とされる。オートデスク製品では3D CAD「Inventor」、クラウドベース3D CAD「Fusion 360」にジェネレーティブ・デザイン機能が搭載されているが、Dreamcatcherはこれらとはひと味ちがう製品になるようだ。

InventorとFusion 360に搭載されているジェネレーティブ・デザイン機能は設計者が用意した形状に対し、コンピューターが与えられた要件を満たすように形状や構造を最適化する技術(構造最適化はFusion 360のみ)。これに対しDreamcatcherでは、ユーザーがいくつかの要件を設定するだけで、コンピューターがそれに適合するデザインをいくつも生み出していく。つまり、ジェネレーティブ・デザインを利用する際、既存製品では1)設計→2)要件設定というフローであったのに対し、新製品では1)要件設定→2)デザイン選択という開発フローになる。

開発中のDreamcatcherで椅子をデザイン。よく見ると右下のパラメーターが左右の椅子で異なることが分かる

オートデスクのFrancesco Iorio氏

Dreamcatcherのジェネレーティブ・デザイン機能のメリットについて、開発に携わるオートデスクの Francesco Iorio氏は「人間の創造を超えたデザインが実現できる」とコメントしたほか、開発中に想定外の変更(素材の変更など)が起こってもすぐにデザインを再検討できる点を挙げた。

現時点では積層造形のみを前提としているが、Iorio氏は将来的には他の造形法にも対応したいとしている。また、生成される大量のデザインの中から効率的に必要なデザインを発見するためのUIを現在検討中とのことだ。