理化学研究所(理研)と富士通は11月16日、スーパーコンピュータ(スパコン)に関する国際会議「SC16」において発表された、産業利用など実際のアプリケーションで用いられる共役勾配法の処理速度の国際的なランキング「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」の2016年11月版において世界第1位を獲得したと発表した。
HPCGはスパコンの性能をより多くの視点から評価することを目的とした新たな国際的ベンチマークとして、2014年から発表されているランキング。今回の測定は、「京」が持つ全計算ノード(8万2944台)が用いられており、逐次実行していた演算を同時実行させることで単位時間当たりの演算回数を増やすチューニングを実施することで、2014年の最初のランキング発表時と比べて、さらに高い602TFLOPSというスコアを達成したという。
同ランキング2位は中国の「天河2号」、そして3位は2016年11月版のTOP500で京を抜き、日本最高性能を達成した東大/筑波大の「Oakforest-PACS」、4位はTOP500で1位の「神威太湖之光」、5位も米国立エネルギー研究科学計算センター(NERSC)が2016年に稼動を開始させた次世代スパコン「Cori」と、いずれも「京」よりもLINPACK性能が上のスパコンであり、これらを押さえて1位を獲得したことについて理研と富士通では、CPUの演算性能のみならずメモリやネットワークも含めたシステム全体としての性能バランスを重視して設計開発された「京」が、産業利用など実アプリを効率よく処理し、高い性能を発揮することを証明した結果となったとコメントしている。