セールスフォース・ドットコムでは、2016年9月に人工知能(AI)機能を提供するプラットフォーム「Salesforce Einstein」(セールスフォース アインシュタイン)を発表し、10月に開催された年次イベント「Dreamfore 2016」ではデモを行ったが、11月16日は、日本で改めてEinsteinの説明を行った。

セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクター 御代茂樹氏

セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクター 御代茂樹氏はEinsteinのコンセプトについて、「Apple、Amazon、facebookなど、すでにAIはコンシューマの世界には取り入れられているが、企業がAIを取り込むのはまだまだ難しく、データサイエンティスト、モデル構築、インフラ、セキュリティなどの課題があり、すぐに使えるようにはなっていない。そこで、セールスフォースでは、AIをどうしたら簡単に使えるかアプローチしてきた。それはCRMのためのAI、セールスフォースのためのAIだ。われわれのAIは、Sales Cloud、Commerce Cloud、App Cloud、Analytics CloudなどSalesformのプラットフォームに組み込まれ、誰でも使えることをコンセプトに実装されている。今後は、それぞれのプラットフォームにAIを実装し、それぞれのプラットフォームに特化した形で提供していく」と述べた。

御代氏が説明した、企業がAIを使う上での課題(氷山の隠れている部分)

セールスフォース・ドットコム CTO 及川喜之氏

セールスフォース・ドットコム CTO 及川喜之氏は、「AIは、データを準備して、モデリングしてユーザーの見える形で表現するビジネスコンテキスにおいて、それをバックエンドで支えるもので、プラットフォームの一部として動く」と説明。

データとしては、営業データ(リード、メール、活動、注文、商談、カレンダー、電話)、サービスデータ(ケース、製品、ナレッジ、フィールドサービス、コミュニティ)、マーケティングデータ(広告、オーディエンス、メール、ソーシャル、Web、モバイル、キャンペン)があり、モデルは、決まったアルゴリズムにしたがって、予測を導きだすという。

現状はSalesforceが用意しているデータのみ分析だ、次のステップでは、自社で用意されている別データとSalesforceのデータをあわせてAIで分析することが可能になるという。

Einsteinは、Salesforceのプラットフォームの一部として動作

同社のこれらAIの研究のためSalesforce Researchが組織されており、リーチャード・ソーチャー博士の指揮のもと、170名の技術者が研究を行っているという。

そして説明会では、Sales Cloudにおいて、データを分析することにより、見込み客が実際に購入にいたるかを点数をつけて表示する機能(LEAD SCORE)や、その見込み情報をもとに、実際に面会を求めるメールを自動生成する(誰に対してどういったメールを送ればいいのか)様子を、Marketing Cloudでは、顧客によって、最適なアプローチ方法をレコメンドする様子をデモした。

LEAD SCORE。このスコアの高い順にアプローチすれば成約率が高まるという

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