スーパーコンピュータ(スパコン)最大の学会である「SC16」に併せて、スパコンのエネルギー効率(性能/電力)ランキング「Green500」が発表された。
今回のGreen500では、NVIDIAの最新アーキテクチャ「Pascal」をベースとしたGPU「P100」を用いた同社内部向けシステム「SATURNV」が1位、同じくP100を使うスイスのCSCSのPiz Daintが2位となり、前回1位の理化学研究所(理研)/ExaScalerの「菖蒲」は3位に後退した。
SATURNVスパコンは、P100を8台搭載する同社のディープラーニング向けの開発システム「DGX-1」を124台使っている。ピーク演算性能は4.9PFlops、LINPACK性能が3.3PFlopsでTOP500でも28位にランキングしている。
そして、SATURNVの消費電力は、わずか349kWであり、性能/電力は9.46GFlops/Wとなっている。10GFlops/Wの大台には届かなかったものの、素晴らしい効率である。ただし、1ExaFlopsを20MWでという米国の目標は50GFlops/Wであり、まだ、差があると言える。
そして、TOP500で8位となったスイスのCSCSのPiz DaintがGreen500で2位となった。Piz Daintは、これまでもリストに載っていたが、今回は、CPU、GPUともに入れ替えて性能アップと電力効率アップを行っている。SATURNVと同じP100を使用しているが、電力効率は7.45GFlops/Wである。
また、Piz Daintの方が、SATURNVより性能/電力が低いのは、実用システムであるので、ストレージなどいろいろなシステムが付いていることが消費電力を増やしているのではないかと思われる。
SATURNVのピーク性能に対するLINPACK性能の比は、67.5%となっており、過去のGPUのピーク比率より下がっている。この原因は分からないが、PCI Expressの性能はアップしていないこと、あるいはクロックを上げたことでどこかのレーテンシが増加したなどの性能を制限する要因があると思われる。
なお、今回のGreen500では、PEZY/ExaScalerは新たな値を登録しておらず、3位になった菖蒲のスコアは前回のものである。