IDC Japanは11月14日、IoT(Internet of Things)とコグニティブ(Cognitive Systems:一般的に「人工知能」や「AI」と呼ばれる分野)の2つの技術に着目し、それぞれの技術を活用した主要なユースケース(用途)をまとめた上で、将来的にIoT/コグニティブの双方を組み合わせることによって生み出される価値についての調査結果を発表した。
IDCでは、企業がデジタルビジネス変革を推進する上で「収集可能なデータの最大化」と、その中での「有効活用可能なデータの最大化」という2つの取り組みが不可欠とみており、2020年にかけて、全世界で生成されるデータのうち、データ量の大きさという観点では「非IoTデータ」が相対的に多くを占めるが、データ量の成長性という観点からは「IoTデータ」が非IoTデータの倍のスピードで成長すると分析している。
従って「収集可能なデータの最大化」をけん引する役割を果たすのはIoTであると言うことができ、一方、IoTデータ/非IoTデータの双方において、「有効活用可能なデータの最大化」をけん引する役割を果たすのがコグニティブになるという。
IoTとコグニティブを組み合わせるユースケースが徐々に登場しており、具体的には、製造業における製品の品質改善や製造機械の故障予兆検知、小売業における店舗内での販売促進、運輸業におけるフリート管理や輸送貨物管理などが挙げられる。
IDCでは、ITベンダーは企業の「収集可能なデータの最大化」を進める上で、IoTを通じたデータセンシング/処理基盤を充実させることはもちろん、産業分野間に跨って非IoTを含めたさまざまなデータを組み合わせることも視野に入れたソリューションの提案が必須になるとしている。
また、「有効活用可能なデータの最大化」を進める上でコグニティブを中心としたアナリティクス技術を駆使し、IoTデータ/非IoTデータを余すことなく活用し価値を最大化することが重要になるという。
IDC Japan コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣 悠太氏は「ユーザー企業がデジタルビジネス革新を推進するためには『アジャイル』なマインドセット(考え方)を養うことが重要になる。例えば、IoT/コグニティブを導入/運用を進める上では、導入前にROIを見極めることは極めて困難なため、企業はある程度本番運用で活用していく過程においてROIを見極めていくような考え方が必須になる。そうしたアジャイル的な思想を企業の経営サイドが率先して養い、そのマインドセットを強力なリーダーシップにより、企業風土として浸透させていくことが肝要である」と分析している。