Japan Dronesとドローン・ジャパンが共催する「ドローンソフトウェアエンジニア養成塾」は11月11日、長野県軽井沢の風腰公園にて、同塾第1期エンジニアにより開発された技術の発表会を開催した。

同塾はドローンオープンソフトウェア「ArduPilot」のエンジニアを養成することを目的とし、2016年5月20日より取り組みを開始。ArduPilotはドローンソフトウェアの中で7%のマーケットシェアを有し、オープンソースであるため誰でも開発をスタートさせることが可能だ。そのため、ドローンメーカーに依存せずとも柔軟にアプリケーションを生み出せるほか、ドローンに汎用部品を使えるようになるため開発コストの抑制にもつながるなどのメリットがある。

本稿では同発表会で披露された開発技術の一部を紹介する。

VTOL型ドローン

同発表会で特に大きな注目を集めていたのが小宮光裕氏が開発したVTOL(Vertical Take-off and Landing)型ドローン。VTOL型ドローンは固定翼機にも関わらず、ホバリングおよび垂直離着陸が可能だ。

小宮氏のVOTL型ドローン

飛行の様子

固定翼機はエンジンを使うことでマルチコプター型のドローンに比べて航続距離を長くしたり、より高速で飛行できるため、災害における要救助者の発見などでの活用が見込まれている。同氏のVOTL型ドローンは市販のキットを改造して制作されており、将来的には航続距離を100kmまで延ばす予定だという。

ちなみに小宮氏はVTOL型の開発以外にも、DJIのオクトコプター「Spreading Wings S1000」をPixhawkフライトコントローラーで制御することにも成功している。

小宮氏がカスタマイズしたDJIの「Spreading Wings S1000」

ジェスチャーでドローン操作

松浦伸悟氏はLeapMotionという機器を利用した操作を実現。具体的には、デバイス上に両手をかざし、左右の手の動きによってドローンを操作できる。普通に操作するよりも制御が難しいため、産業向けのアプリケーションではないかもしれないが、ArduPilotの拡張性の高さを示す開発だといえるだろう。

PCの上においてあるデバイスがLeapMotion(左)。PC画面が見えづらくて申し訳ないが、両手をLeapMotion上にかざしてドローン操作する

また、松浦氏の機体は同じく1期生の中島幸一氏の開発技術によりBluetoothでPCと通信可能となっていた。ドローンはフライトモードの切り替えやパラメーター設定などPCと頻繁に接続するため、開発者にとってはありがたい機能だ。

ArduPilot普及に向けた新プロジェクトも準備中

ArduPilotのエンジニアは世界に約2000人いると見られているが、日本での普及はまだこれからといったところ。そのため、Japan Droneとドローン・ジャパンは今後、ArduPilot普及と日本からの世界発信を目指す仕組みとした「APTJ(ArduPilotTeamJapan)」プロジェクトを2017年3月25日より開始し、日本のエンジニアが世界のコミュニティで積極的に活動できるよう支援していくとしている。