京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は11月9日、仏SIGFOX社が提供するIoTネットワーク「SIGFOX」を日本で展開し、2017年2月からサービスを開始すると発表した。
SIGFOXは低価格・省電力・長距離伝送が特長のネットワークで、伸展が進むIoTにおいて、データ量が小さいセンサーなどの用途で注目を集めるLPWA(Low Power Wide Area)に分類される。すでに欧米を中心に24カ国で展開しており、2018年までに60カ国まで増加する予定だ。
ビジネスモデルとしては、KCCSはSIGFOX社より基地局およびクラウドの提供を受け、IoTサービスプロパイダに向けてネットワークを展開する。エンドユーザーはKCCSのネットワークを利用するサービスプロパイダを通じてネットワーク・デバイスなどを含むサービスやソリューションの提供をうけるかたち。また、KCCSは各種デバイスメーカーと技術協力を進めるとしている。
サービス料金は1デバイス(回線)あたり100円/年~という低価格を実現するとしており、2017年2月より東京23区で順次スタートさせ、同年3月に川崎市・横浜市・大阪市、2018年3月にかけて政令指定都市を含む主要都市でサービスを展開する予定。用途としては"1日に何回か、少量のデータを伝送するセンサー"での活用を最も見込んでおり、具体的には温湿度や水位センサーなどが想定されるという。
LPWAにはNB-IoT、LoRaWANといった通信方式も注目も集めているが、SIGFOXを選んだ理由について、都内で開催された記者説明会に出席したKCCSの黒瀬善仁 代表取締役社長は「NB-IoTについてはキャリアが展開するものだと考えている。(NB-IoTを利用した)ソリューションを提供する事はあるかもしれない。LoRAWANは統一されたワールドワイドのネットワークではなく、個々で規格を作っていくもの。特定のソリューションを作るのには向いているが、ワールドワイドで幅広いサービスを提供するという点ではSIGFOXが優位性がある」と説明。同氏はさらに「(SIGFOXは)通信モジュールにしても安くできる。低価格帯のサービスをやる場合には、機器の費用にしても安さが効いていくると考えている」と付け加え、コスト面でのメリットを強調した。
また、同説明会にはSIGFOX SINGAPORE President, Asia & PacificのRoswell Wolff氏も出席し、日本市場そしてKCCSへの期待について以下のようにコメントした。「日本で展開できることを喜ばしく思う。日本はグローバルでトップ3のIoT市場。世界でIoT市場は3兆ドル規模と見込まれているが、この中の6%を日本が占める。また、日本は、デバイス、エコシステムの開発が大いに期待されており、その中で通信だけでなく製造の経験もあるKCCSを強い戦略的パートナーとして捉えている。(SIGFOXが)日本で展開されることは、日本企業がグローバルなネットワークに繋がるきっかけとなる」(Wolff氏)。