SCSKは11月2日、機械学習技術・深層学習(ディープラーニング)技術・映像解析技術などを持つPreferred Networks(PFN)とAI技術を活用したソリューションを提供するAsian Frontier(AF)、およびAFグループのRidge-iと業務提携し、SCSKが開発・運用する企業の業務システムへのAI技術の活用を推進すると発表した。なお、業務提携に先立ち、第1弾として損害保険会社の損害調査システムへのAI活用実証実験を2016年9月から開始している。
昨今、金融機関において既存業務の効率化や、知見の有効活用を目的にFinTech・AIへの積極投資が進み始め、機械学習・深層学習技術の業務システム・サービスへの適応が求められているという。このような要請のもと、SCSKでは深層学習を中心にした機械学習のプラットフォーム「DIMo(ダイモ:Deep Intelligence in-Motion)」を提供するPFNの先進技術に注目し、実用検討を行ってきた。
併せて、DIMoの販売および深層学習技術の業務適応コンサルティングを提供するAF、およびAI領域に特化した技術提供を行うRidge-iとの協業を検討した結果、今回の業務提携に合意。今後、金融機関をはじめ、そのほかの業種・業界向けの業務システムサービスへのAI技術の活用を推進していくという。
第1弾として保険損害調査の効率化を目的に、あいおいニッセイ同和損害保険より損害調査ノウハウの提供を受け、2016年9月からAIの深層学習技術を活用した共同研究プロジェクト(損害保険会社の損害調査システムへのAI活用実証実験)を開始している。
損害保険会社では、事故の発生時に損害調査部門による事故現場の検分や現物調査を行っているが、従来の損害調査業務では膨大な調査項目の確認や解析に時間を要しており、被害状況把握の自動化などによる業務の効率化が必要だったという。
今回の共同研究プロジェクトでは、従来は人間が視認にて実施している損害規模や、適正な修理範囲の判定業務をDIMoの画像認識技術、および人間の脳の働きを模したニューラルネットワーク技術の活用で代替できるか、実現性の検証を行う。
各社の役割として、SCSKは全業種の業務課題に対するAI技術の適応検討、および業務システムへの実装を提供、PFNは深層学習技術を使ったDIMoの提供および技術支援、AFはDIMoを活用した業務改革・システム化構想のコンサルティングサービスを提供、Ridge-iは深層学習・強化学習などを中心としてAI領域に特化した技術支援、コンサルティング、ソリューション開発、実証実験支援、DIMo導入支援などを提供する。
今後、共同研究プロジェクトを通じて、損害調査業務を効率化させる知見を組み込んだ業務システムの開発を目指すとともに、AFグループの持つAI技術を活用したコンサルティングノウハウとSCSKのシステム実装技術を組み合わせ、損害保険以外の業務システムへの適応を推進していく方針だ。