SAS Institute Japanは11月1日、新たなアナリティクス・プラットフォーム「SAS Viya」上で稼働する製品の第1弾として、「SAS Visual Data Mining and Machine Learning」を国内で提供開始すると発表した。
説明会では、SAS Institute プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのライアン・シュミーデル氏が「SAS Viya」と「SAS Visual Data Mining and Machine Learning」について説明した。
シュミーデル氏は、アナリティクス市場のトレンドとして、「オープンなエコシステム」「アプローチできるアナリティクス」「Volume(容量)、Variety(種類)、Velocity(スピード)が求められるデータの処理」「インテリジェントな経験」「アルゴリズムの成熟」を挙げた。これらのトレンドに応えるアナリティクス・プラットフォームが「SAS Viya」となる。
SAS Viyaはマイクロサービスとインメモリ・エンジンを採用しているため、処理の量に応じて規模を拡大・縮小できる。オープン性としては、SAS言語に加え、Python, Java, Luaといった汎用プログラミング言語からもアクセスすることができるほか、REST APIを介してサードパーティのアプリケーションと連携が可能だ。クラウドに対応していることも特徴の1つで、SASのクラウドのほか、パブリッククラウド、プライベートクラウドにもCloud Foundoryを介して展開できるという。
シュミーデル氏は、SAS ViyaではAPIのエコシステムを構築することで、これまで重視してこなかった開発者に対しアプローチを強化していると語った。開発者がSAS Viyaを活用して、SASのアナリティクスを活用したアプリケーションを開発してもらうことを狙っている。
またシュミーデル氏は、既存のアナリティクス製品「SAS 9」と「SAS Viya」の関係についても言及した。同社は今後も、異なる利用目的のために2つの製品の開発を続行し、データ・予測モデル・コードは相互に連携可能とする。「SAS 9」を使うか、「SAS Viya」を使うかは、ユーザー次第となるが、SAS以外の言語を利用したい場合などはSAS Viyaを選択することになるとした。
SAS Viyaで動作する第1弾の製品となる「SAS Visual Data Mining and Machine Learning」は、ビッグデータのためのデータ加工機能や探索機能、ディープ・ラーニングを含む機械学習のアルゴリズム、自然言語処理や画像処理などのアナリティクスに必要な機能を同一基盤上で実行することが可能だ。
データがインメモリに保持されるため、反復的な分析を行う場合もデータロードを繰り返す必要がなく、複数のユーザーがコラボレーションに参加して同じデータを探索したり、モデル構築を同時に行ったりすることができる。分析モデリングの処理時間は数分、または数秒にまで短縮されるという。シュミーデル氏も同製品の特徴として繰り返し「高速性」をアピールしていた。
日本市場での展開については、代表取締役社長の堀田徹哉氏が説明を行った。SAS Viyaでは開発者もターゲットとしているが、いわゆるソフトウェアの開発会社に属する開発者に使ってもらうことは先のことになることを見込んでいるという。
堀田氏は「日本は欧米に比べて、パッケージを利用するよりもカスタムでシステムを開発しているケースが多い。こうしたシステムにおいて、フロントはカスタム開発をしつつ、SAS Viyaを用いることでアナリティクスのエンジンはわれわれのものを使ってもらうことが可能になる。カスタム開発の現場で簡単に使えるような形でSAS Viyaを提供していくつもりだ。パートナーに活用してもらうことも考えている」と述べた。
なお、パートナーのプロダクトにSAS Viyaを組み込んで、パートナーのソリューションとして提供していくことにも取り組んでいるという。
堀田氏はSAS Viyaで狙うユーザーについては、「これまでオープンソース利用している企業は未知の領域だったが。SAS ViyaはAPIを提供しているので、一部の機能を取り入れてもらうことが可能になるので、狙っていきたい」とした。
SAS Viyaはクラウドに対応しているが、当初はオンプレミスでの提供となる。堀田氏は「技術的にはクラウドサービスとして提供することが可能だが、価格などの調整が必要。2017年に提供したいとは考えている」と述べた。