IDC Japanは11月1日、国内企業ユーザーのネットワーク機器利用動向に関する調査結果を発表した。これによると、SD-WAN(Software-Defined WAN:ソフトウェア定義型WAN)の現時点での認知度は低いものの、受容性が高いことがわかったという。
今回の調査は、IDCが2016年8月に国内企業994社を対象として実施した「2016年 企業のネットワーク機器利用動向調査」の調査結果に基づき、企業ネットワークの課題と変化やSoftware-Defined技術の導入などに関する企業ユーザーの動向を分析した。
分析の結果、SD-WANの認知度は大企業でも50%に達していないが、ソリューションを認知している企業の70%近くは検討中も含めSD-WANの導入意向を持っていることや、SD-WANの数ある機能の中ではアプリケーションごとに仮想ネットワークを設定できる機能を企業が最も有望視していることが明らかになった。
また、企業ネットワークにおける課題意識についての調査では、企業内での利用拡大が継続している無線LANにおいては、通信状態が十分に可視化されていない点をネットワーク管理者が最も懸念している。一方、実際の無線LANの運用管理においては、不正アクセス監視などのセキュリティ対策は重視されているものの、電波状態の監視を実施している企業は65%程度にとどまり、課題意識と運用管理の実態にはギャップがあると分析。
さらに、NTT東日本/NTT西日本が提供する「INSネット ディジタル通信モード」のサービス終了に関する調査も実施した。従業員数100人未満の企業では4分の3が同サービスの終了を認知していないことに加え、大企業でも半数以上が認知していないという。通信事業者やルータベンダー、ISDNを利用するPOS端末などの周辺機器ベンダーを含めて、業界全体での顧客に対する周知する努力が必要であると同社は考えている。
SD-WANが注目される中で、企業内LANやデータセンター/サーバルームへのSDN(Software-Defined Network)技術の導入は、足踏み状態にあるという。IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は「企業内LANの一部にでもSDN技術を導入している企業は、2015年の調査の45.3%から2016年は47.6%へと、わずかな増加にとどまっている。SDNの認知が広がった一方で、導入検討やPOC(Proof of Concept)も一巡した可能性があり、ベンダーは技術や製品の成熟度をもう一段高める努力が必要」と分析している。