「せっかくWebなのだから、動画広告だって消費者との双方向コミュニケーションに生かしたい!」そんな思いをお持ちのマーケッターさんに、新しい動画広告配信手法をご紹介いたします!
昨今流行りの動画広告。みなさんも何かしらの媒体で、一度は出稿されたことがあるのではないでしょうか。
スマホファーストと言われる現代においても、Web上の動画広告はTVCMの補完という位置づけで配信されているケースが、まだまだ多く見受けられます。 でも、それではWebならではの情報発信と言えるでしょうか……。
そこで今回は、SNSデータを活用してWeb動画への反応を増幅させ配信効率を高める、新たな配信手法の事例をご紹介します。
■ ”再生数”だけでない動画の評価指標~エンゲージメント率~
動画広告の効果指標としては、広告を配信したことにより「どのくらいの方に視聴されたか」を示す「再生数」がよく使われます。
しかし、動画や広告自体に対する評価は本当にそれだけで十分でしょうか?
動画広告は静止画の広告と比べ、1つのバナーでは伝えきれないブランドや商品の魅力を訴求でき、より理解促進や購買意欲喚起につなげることができます。そのため広告をクリックしたあとのコンバージョンレートも高くなる傾向にあり、より伝えたい内容を表現しやすい手段となっています。 つまり、「動画が見られた」ということ”だけ”ではなく「動画がどう理解され、受け入れられたか」という点も、動画広告を評価する一つの指標になるのではないでしょうか。
この「どう受け入れられたか」は、「エンゲージメント率」と呼ばれる、投稿や広告に対するユーザーからの反応率を指標としてみることが出来ます。
■エンゲージメント率の測り方
SNS上ではFacebookで「いいね(リアクション)」「コメント」「シェア」、Twitterで「リプライ」「リツイート」「フォロー」といったユーザーからの反応を得ることができますが、このようなユーザーからの反応が動画視聴された回数の中で何回あったのかを示す割合を「エンゲージメント率」と定めることができます。要は、消費者から反応が返ってきた比率を示しているわけです。
<算出方法>
・Facebook
(いいね+コメント+シェア)/動画再生回数
・Twitter
(リプライ+リツイート+フォロー)/動画再生回数
弊社ではこのエンゲージメント率に着目し、「打つと響くようなマーケティングをしたい」というご要望にお応えして、弊社が所有しているユーザーデータを活用した動画広告配信を行いました。
■ 動画×エンゲージメント事例
薄毛治療を専門としているクリニックグループ「ヘアメディカルグループ」様は、エンゲージメントの最大化を目的とした動画を動画制作会社Viibarにて制作(詳細はこちらhttp://viibar.com/service/must-share)、弊社サービス「モニプラ」(※1)のオーディエンスデータと組み合せて配信しました。
「モニプラ」オーディエンスデータは、取得したモニプラ会員のSNSデータから、友人(フォロー)数やログイン頻度等を抽出し、5段階でクラスタリングしたものです。この指標をアクティブ度とし、数値が高ければ高いほどSNSをアクティブに活用し、友人の投稿を見たり反応したりしている可能性が高いと想定しています。
<実施目的>
「ヘアメディカル」への認知度と好感度の醸成(ブランディング)
<実施の背景>
医療機関による医療としての薄毛治療という優位性を伝える一貫として、患者様に寄り添ったメッセージを発信する動画キャンペーンを実施したいという意向がありました。
実は薄毛は心理的な負担の大きい病であり、その原因が周囲の心ない発言、無理解にある事を明らかにすることで、患者様が日々感じる悩みを理解しているブランドイメージの醸成を図る動画を作成、配信しました。
<配信フロー>
<配信クリエイティブ>
【検証実験】2つの笑顔、何が違う? / The difference between two smiles
<実施結果>
通常の興味関心でのターゲティングとモニプラデータを活用したターゲティングを使用し、3週間広告配信しました。結果、興味関心の配信に比べてモニプラデータを活用して配信した方が、より高いエンゲージメント率となりました。
広告に対するエンゲージメントが高かったことで、広告のスコアと呼ばれる関連度スコア(※2)も10段階中9~10と非常に高い結果となり、再生単価も安価に抑えることができました。
モニプラ及びその類似拡張(※3)はデータ数の母数が年齢・性別・趣味嗜好で区切ったブロード配信よりも少ないため再生単価自体はやや高め(1.9倍)ではありますが、その差を遥かに上回る19.3倍もの高いエンゲージメント率が出ています。
※1:モニプラ
SNSを活用したキャンペーンをベースに、生活者と企業との「つながり」を創出するプラットフォームであり、手軽に運用できるほか、参加者のデータを独自のデータベースで管理・分析をすることが可能。
※2:関連度スコア
広告に対する好意的なフィードバック(いいね、コメント等)と否定的なフィードバック(広告の非表示等)の回数によりFacebook側で算出される10段階の広告に対する評価。
※3:類似拡張
拡張元である顧客・ユーザーによく似た興味関心を示す可能性が高い人々を探し出して、リーチを広げる機能です。
■効果のポイントは高いエンゲージメント率
本施策が効率的な配信を実現できたプロセスとしては、下記のような流れがあります。
オーディエンスの共感を得やすい文脈で動画を作成→SNSデータを活用し、より高反応を期待できるターゲットに広告を配信→「いいね」「コメント」「シェア」等ユーザーからの反応が多い(=エンゲージメント率が高い)→広告がユーザーに受け入れられていると媒体側から評価される→広告スコアが向上→より安価な再生単価で配信がすすむ→再生回数が伸び、さらにユーザーからの反応が増える
このように、クリエイティブだけでなく配信ターゲットの設定にも、SNSならではのユーザーアクションを獲得することに主眼を置いて広告配信を設計したことにより、結果的により再生回数が伸びるという好循環が実現できたわけです。
いかがでしたでしょうか。 動画広告は既に実施済みという企業様も、ぜひ一度この新しい配信方法を試してみませんか?
本稿は、ソーシャルメディアマーケティングラボにて掲載された記事を転載したものです。
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