2016年の世界半導体産業売上高は、年初には前年に続き2年連続マイナス成長が予測されていたが、半導体調査会社の米VLSIresearchは10月18日(米国時間)、半導体産業の急回復により、最終的には前年比で0.8%のプラス成長に転じ、売上高の最高値を更新するだろうとの予測を発表した。

世界半導体週次売上高移動平均値の推移。縦軸は前年同期比増減%、横軸は西暦と月数(各週末時点)。青線は週次売上高13週移動平均値の前年同期間比増減、橙色は週次売上高52週移動平均値の前年同期間比増減 (出所:VLSIreserch、2016.10.18)

2016年の世界半導体市場売上高は、かたく見積もっても3494億ドルと史上最高額を記録する見込みで、ともすれば3500億ドルを超す勢いで回復してきているという。13週移動平均線が底を打ったのは2016年4月であるが、月次ベースでは1月に底を打ったと見られる。各半導体調査会社の2016年の売上高予測は、年初の最悪の時期に立てられたために、ことごとくマイナス成長を予測していたが、7月に需給バランスが好転したため、VLSIreserchは同月に半導体産業の状態を「景気好転(In Upturn)」レベルに引き上げていた。

第4四半期の売上高は前年比2%増加と予測

NANDフラッシュメモリ、マイコン、DSPとパワーデバイスが平均を上回る成長を遂げ、このような上向きな展望を支える主要なけん引役になっている。アナログ半導体とMPUも予想より速く成長している。これに加えて、DRAMが最近、不足をきたして高騰しており、これにより2016年第4四半期の見通しを明るくしている。VLSIresearchでは現時点で、同四半期の売上高を前年比で2%増と予測している。

Intelは売上高の最高値を更新

半導体大手のIntelが発表した2016年第3四半期(7~9月期)決算は、売上高が前年同期比9.1%増の157億7800万ドルと、四半期ベースで過去最高となった。データセンター向け製品などが好調で最高値を更新し、主力のPC用半導体も持ち直した。IntelのライバルAMDの第3四半期売上高も前年同期比で23%増加した。ファウンドリ大手のTSMCの第3四半期売上高も過去最高となる2604億NTドルを記録しており、今後、他の半導体企業からも好調な業績発表が続くことが見込まれる。