市場動向調査企業である台湾TrendForceは、2016年第3四半期(7~9月期)の世界スマートフォン(スマホ)生産数が3億5000万台に達し、前期比で10.4%増となったと発表した。このうち、中国ブランドのスマホは1億6753万台を占め、前期比で18%増となり、その生産量は、AppleとSamsung Electronicsを併せたスマホの生産数を超えており、世界のスマホ市場のけん引役となっている。
AppleのiPhoneの第3四半期の生産数に4500万台で、前四半期比5.3%減となった。TrendForceのスマホ担当アナリストであるAvril Wu氏によると、「SamsungがGalaxy Note 7の生産の中止したこともあり、iPhone 7の生産は第4四半期に急増するだろう」とする。また、第3四半期のSamsungのスマホ生産数は、前期比1.3%増の7800万台と、わずかな増加に留まったほか、LG Electronicsは、G5スマートフォンの拡販に力を入れていたが、期待通りには売れなかったものの、V20が好調で、結果として、その生産数は同17.6%増の約2000万台となった。Galaxy Note 7の生産中止に伴って、LGは通信業者からV20の大量追加注文を受けており、第4四半期の出荷額は大幅増加が期待されている。
中国OPPOとVivoブランドの人気が上昇
中国のスマホメーカーを見てみると、Huaweiの第3四半期の生産数は前四半期比10.3%増の32000万台となったが、デュアルカメラ付きの旗艦製品「P9」は、他の中国ブランドに押されて、期待ほど売れなかったという。
「中国で今一番人気のあるOPPOとVivoは第3四半期にも、それぞれ20.3%増、23%増と高い成長を遂げた」とWu氏は語るほか、「OPPOもVivoも、中国国内市場に焦点を当てており、内陸の離散した各都市への販売チャネル開発に特に注力している」と分析する。彼らは、third-tierおよびfourth-tier都市(地方の中規模の都市)への販売チャンネルを確立し、現在、fifth-tierおよびsixth-tier都市(地方の小規模の都市)への拡販に力を入れている。OPPOとVivoは、この戦略が功を奏して、2016年は大きな成長を維持する見通しだという。
OPPOは、人気のある旗艦製品「R9」に続き、カメラをアップグレードした「R9s」をリリースした。Vivoも、消費者の関心を引き続き引き付けるため、新たな旗艦製品を用意しているとする。
LenovoやXiaomiは今後は苦戦か?
Lenovoのスマホ生産数は、第3四半期に前四半期比で20%増となった。しかし、第4四半期には中間および低価格帯のスマホ市場で激しい価格競争に巻き込まれる可能性がある。またLenovoは、GoogleのAR(拡張現実)プラットフォーム「Tango」を搭載したスマホ「Phab 2 Pro」の売れ行きが芳しくないと言われており、このため、第4四半期に生産数が低下する可能性がある。
一方のXiaomiの生産数は、ピークシーズンを控えた第3四半期に、前四半期比で7%減となった。今年は傑出した製品を発売できず、中国内の競争相手に打ち負かされている状況だ。
Google Pixelは有機ELパネルの供給不足で生産拡大できず
多くのブランドのAndroidスマホメーカーは、Samsung のGalaxy Note 7の生産中止によってもたらされた需要のギャップを埋めて売上増加を目指している。これを機会にGoogleはPixelシリーズでスマホ市場へ本格参入できるかどうか注目されている。しかし、Wu氏は「現在、有機ELパネル市場で供給不足が生じているため、PixelとPixel XLの生産を拡大することができない」と指摘し、2016年のPixelの生産数は200万台に達しないと推定している。