A10ネットワークスは10月24日、都内で記者会見を開き、DDoS対策専用アプライアンス「A10 Thunder TPS」の新モデルとしてハイエンドモデル「A10 Thunder 14045 TPS」と、エントリーモデル「A10 Thunder 840 TPS」および仮想アプライアンス「A10 vThunder TPS」を、2016年11月末より日本市場で提供開始することを発表した。
冒頭、A10ネットワークス ビジネス開発本部 マーケティング部 部長兼エバンジェリストの高木真吾氏は昨今のDDoSの状況として「大容量化、頻発化しており、攻撃帯域は600Gbps以上となっているほか、2020年のオリンピックに向けて企業では対策が必要だがDDoS対策に関して、どのようなソリューションが適当なのかなどのコストと効果や、セキュリティのスキル不足といったものがある。さらに、新しいアーキテクチャとして、クラウドへの移行やパブリッククラウドの利用が進んでいることが挙げられる」と述べた。
米Verisignの調査によるとDDoS攻撃数は前年比75%増、攻撃サイズのピークはボリューム攻撃で256Gbpsであり、最も一般的な攻撃はUDPフラッドが5割を超えていた。複数の攻撃タイプを利用した攻撃は6割超で業界別の攻撃対象の割合はITサービス・クラウド・SaaSが4割となった。さらに、同社調べによると首都圏上場企業100社におけるDDoS対策の実施状況は、対策済みが55%となり、未対策は31%で、うち8割の企業がDDoS対策に興味があると回答しているという。
DDoS対策専用ソリューションのA10 Thunder TPSは、ネットワークインフラの一次防衛線として、ネットワークの境界でDDoS攻撃の検出と緩和を行い、ビジネスの混乱を引き起こすマルチベクトル型のDDoS攻撃を防ぐ。また、独自OS「ACOS Harmonyプラットフォーム」の共有メモリアーキテクチャによるパフォーマンスと、オープンソースを含む既存ネットワークとの連携、クラウド環境における拡張性を特徴としている。
今回、新しく提供するハイエンドモデルA10 Thunder 14045 TPSは、サービスプロバイダーやクラウド事業者などの高速ネットワーク向けに、300Gbpsのスループット(またはクラスタ構成で2.4Tbps)によるDDoS対策機能を提供。さらに、新たな物理/仮想のエントリーモデルの追加により、中小規模のネットワークにおけるDDoS対策基盤の構築を実現するとしている。
さらに、北米で提供を開始しているDDoS緩和専門チーム「A10 DSIRT」によるDDoS対策に特化したサポートサービスを2017年内に日本市場でも提供する。同サービスは、専門家によるサポートや、脅威インテリジェンスの提供を予定している。
A10 Thunder 14045 TPSはサービスプロバイダー、クラウド事業者など大規模Webサイト、オンラインゲームなどの高速ネットワーク向けのハイエンドモデル。パフォーマンスは300Gbps、440Mpps、クラスタ構成で2.4Tbps。FPGAハードウェア搭載のA10独自のSPE(Security and Policy Engine)プラットフォーム、4つの18コアXeon、3RUの筐体、4つの100GbEおよび40GbEインタフェース、2+2冗長の80 PLUSプラチナ認定の電源を備える。
高木氏は「300Gbps、440Mppsというパフォーマンスを担保するテクノロジーとしてACOS Harmonyプラットフォームがあり、共有メモリアーキテクチャを採用している。従来のマルチコアのアーキテクチャは、各CPUコアにメモリがつながっているが、ACOS 共有メモリアーキテクチャは大きなメモリを複数のCPUコアで共有する形になる。従来はデータのコピーやCPU間通信などがあるが、ACOS 共有メモリアーキテクチャは必要としないためCPU性能を最大限に活かすことができる」と説明した。
加えて、A10 Thunder 840 TPSとA10 vThunder TPSは企業への迅速な導入が可能なエントリーモデル。中小規模の企業、リモートサイト、MSSP、サービスプロバイダーのCPE向けとなる。 A10 Thunder 840 TPSは、2Gbps、5ポート 1GbE、2ポート 1/10GbE、ハードウェアバイパス機能を搭載(オプション)。A10 vThunder TPSは、VMware ESXi および Microsoft Hyper-Vに対応し、1、2、5Gbpsとなる。
また、2017年に提供開始するA10 DSIRT(DDoSセキュリティインシデントレスポンスチーム) によるサポートサービスは、DDoS防御に特化した「DDoS緩和専門チーム」が、24時間365日のサポートを含む、攻撃緩和のための支援を行う。既知の攻撃を防ぐための脅威インテリジェンス情報を活用できるサブスクリプションサービス「A10 脅威インテリジェンスサービス」を新たに提供する。
価格は、A10 Thunder 14045 TPSならびにA10 Thunder 840 TPS、A10 vThunder TPSは、パートナー企業を通して2016年11月末より提供開始し、価格はオープン価格。A10 DSIRTによるサポートサービスは、2017年内に提供開始を予定している。