日立ハイテクノロジーズ(日立ハイテク)、日立コンサルティング(日立コンサルティング)、日立キャピタル損害保険の3社は10月21日、脳科学の知見を活用した「健康経営支援ソリューション」を発表した。
働き方改革が推進される中、「健康経営」に向けた取り組みの多くはストレスチェック制度への対応や、従業員の生活習慣改善に留まり、その効果を定量的に把握することが難しいという課題がある。今回の新ソリューションでは、脳内の血流変化を測定する光トポグラフィ技術を用いた携帯型脳活動計測装置を用いて従業員の「活力」を可視化し、職場環境に潜む問題やリスクを明らかにしながら業務改善の分析を支援するほか、休職者の収入源に対する経済的な支援となる団体長期障害所得補償保険を提案する。
都内で行われた発表会に登壇した日立コンサルティングの西岡千尋氏は同ソリューションのメリットについて次のように説明する。
「人事や総務部門の方に話を伺うと、組織間で風通しが良くなるように、月イチの飲み会を開催したりリフレッシュルームを整備したりしていると聞く。しかし、その効果を定量的に計るのは難しい。このソリューションはどれくらい職場の活力があるのかを数値として可視化するところからスタートする。これがわかると、非常に活力が高い人、まあまあの人、活力が低い人がわかり、活力のある人達を増やして生産性・業績の向上につなげる取り組みを検討することができる。一方、活力が低い人は今後休職したり会社をやめたりという状況に陥る可能性があるので、その潜在層を把握し対策を講じることができる」(西岡氏)。
ソリューションの流れとしては、まず約2カ月かけて従業員の計測および結果の分析を行い(計測・分析フェーズ)、その後改革実行もしくは保険の適用フェーズに移る。改革実行フェーズは3~6カ月、保険適用フェーズは1カ月程度の期間を見込む。
「活力」を測定する方法としては、被測定者の頭に計測装置を装着し、スマートフォンを使った記憶力を調べる課題に取り組んでもらう。課題には空間記憶と言語記憶の2種類があり、1回の測定は5~6分で終わる。計測装置はゲーム中の前頭葉の活動を計測しており、必ずしも「正解率が高い=活力が高い」ではないという。計測の頻度や回数は顧客の要望や状況に応じて変わる。
3社は、今後も各社のリソースを活かし、働き方改革や健康経営の発展を支援し、労働環境における社会課題の解決を目指していくとしている。