日本ヒューレット・パッカード(HPE)は10月20日、IoT向けソリューションとして、センサーデータを収集するゲートウェイ「HPE Edgeline EL10 Intelligent Gateway」および「HPE Edgeline EL20 Intelligent Gateway」、エッジで分析を行うコンバージドシステム「HPE Edgeline EL1000 Converged IoT System」および「HPE Edgeline EL4000 Converged IoT System」を発表した。
説明会では、執行役員 サーバー事業統括本部 事業統括本部長 大月剛氏が初めに、同社が考えるIoTについて説明した。
阿部氏は「現在、IoTの世界では、大量のデータをどこでいかにして処理するかが課題となっている。センサーからデータをクラウドに収集して分析するといったモデルもあるが、データが増えれば増えるほど、データをクラウドに送ることは現実的ではなくなる。というのも、大量のデータをクラウドに転送する場合、遅延、ネットワーク帯域の圧迫、ネットワークコストの発生など、さまざまな問題が起きるからだ」と、IoTソリューションを導入する際、クラウドでデータ分析を行うことで生じる課題を指摘した。
そこで、同社はIoTを考える上で、データセンターやクラウドの外部より「モノ」に近い場所を「エッジ」ととらえ、従来、データセンターで行ってきたIoTにおける早期分析と制御を「エッジ」で実行する「エッジコンピューティング」を提唱する。
こうしたエッジコンピューティグを実現するのが、今回発表された製品群「HPE Edgeline Converged IoT Systems」となる。
阿部氏によると、キヤノンITソリューションズが既にゲートウェイであるEdgeline EL10/20の利用を開始しているが、同社の製品について「IoTを小さく早く育むことができる」という評価をもらっているという。
新製品の詳細については、サーバー事業統括本部 サーバー製品本部 スケールアウト・サーバー製品部 阿部敬則氏から説明が行われた。
「Converged IoT System」は、センサーデータの処理と制御を行うために必要なコンピュート、保存、データキャプチャ、管理、エンタープライズクラスのシステム/デバイス管理の機能が統合されている。
阿部氏は Converged IoT Systemの特徴として、同社のサーバカートリッジ「Moonshot」を活用することで、投資の保護拡張性を実現している点を挙げた。「データセンターでの利用に特化したMoonshotをエッジでも利用できるよう、50度までの温度にも対応できるなど、エッジでの利用に適した形で開発されている」と同氏。
また、「PXI規格に対応しているため、複雑なアナログデータも直接収集することが可能」「HPE iLOを搭載しているため、HPE ProLiantと同等の管理機能を有する」といった特徴も有する。
同日、東京の大島本社内にIoTビジネス/エッジコンピューティングを具現化するための実機を使った検証を可能にする「IoTコンピテンスセンター」を開設することも発表された。
執行役員 プリセールス統括本部 統括本部長 香月千成子氏より、「IoTコンピテンスセンター」を含めた、同社のIoTソリューションを支える仕組みが紹介された。
香月氏は同社のIoTソリューションのポートフォリオにおいて、特徴的な製品として「Aruba製品によるネットワーク」と「HPE IoT Universal Platform」を挙げた。
「Arubaはエッジ、データセンター、無線、有線をつなぐネットワークを構築でき、正にIoTのためのネットワークを実現できる」と香月氏。IoTネットワークで求められる「自動化」「セキュリティ」といった要素も満たしているという。「IoT Universal Platform」はIoTアプリケーションを開発するためのプラットフォームで、IoTの世界標準であるoneM2Mに準拠している。香月氏は「われわれはハードウェアばかり提供していると思われがちだが、IoTに必要なソフトウェアも提供している」とアピールした。
こうしHPEのIoT製品やソリューションを活用した実機検証が行えるのがIoTコンピテンスセンターとなる。必要に応じて、HPEの専門エンジニアが検証を支援し、検証結果をソリューションとして外部に発信し、HEPとの協業、ビジネス創出も支援する。
価格は、EL10が12万1000円から、EL20が31万1000円から、EL1000が77万3000円から、EL4000が92万6000円からとなっている(いずれも税別)。