アイ・ティ・アール(ITR)は19日、国内IT投資動向の調査結果を発表、話題が先行しがちだったIoTやAIといった新分野が具体的な投資対象として浮上してきている。

同社のIT投資動向調査は2001年の調査から今回で16回目を数え、IT予算の増減傾向や戦略、110項目の製品・サービス分野の投資意欲など、国内IT企業の動向を調査するもので、2,685件の有効回答を得ている(2016年8月18日から9月3日にかけて実施)。

2016年4月から2017年3月までの2016年度のIT予算については、前年度からの「増額」とした企業が28.5%(前年調査21.3%)と大きく増加。2017年(2017年4月から2018年3月)にかけた見通しでは、大幅な予算増加(20%以上の増加)を見込む企業の割合は5.0%から2.9%へと若干の減少が見られるなどやや弱含みの様相はあるものの高い水準を持続している。

IT予算額増減の経年変化(2016~2017年度予想)(同社資料より)

また、IT予算のなかの「情報セキュリティ対策」「災害対策」「内部統制」の情報セキュリティ対策費用では、過去最高を記録をした前年調査より1ポイント上昇となる「16.4%」を記録している。

IT予算額に対するリスク対策費用割合の経年変化(2012~2016年度)(同社資料より)

全110項目の導入状況と今後の投資意欲では、「IoT/M2M」「AI/機械学習」の2項目が投資意欲を示す項目として浮上、広い業種で注目されており、インフラ/デバイス分野では「IoT/M2M」、OS/ミドルウェア分野では「AI/機械学習」に新規導入可能性指数が認められるとしている。

 2017年度に新規投資が見込まれる製品/サービス分野(業種別)(同社資料より)

同社シニア・アナリスト舘野真人氏は、様子見の傾向が強かった近年のIT投資は、一部企業が攻めの姿勢に転じつつある現状、話題が先行しがちであったIoTやAIといった新分野が具体的な投資対象と位置づけられ、経営とテクノロジの関係が新局面に入りつつあること指摘している。

なお、レポートは11月中旬に同社発刊予定の「国内IT投資動向調査報告書2017」に全分析結果が掲載される。